小さなライバル達(スンハ) 40
___ コンコン
「スンハ、起きているの?」
「なぁに?おばあちゃん。」
スンハはグミが部屋に入る前に、急いでノートを教科書の下に隠した。
「ククスのおじいちゃんがスンハはまだ起きているのかって聞いたのよ。」
「あっ!それおじいちゃんの不落粥?」
「そうよ、今おじいちゃんが帰って来て、スンハが起きているなら食べるように作ってくれたのよ。」
スンハの机の端にトレイを置いて、グミはスンハの柔らかな髪の毛を撫ぜた。
「うん、もう少し勉強をしようかなって。」
勉強・・・・・学校の勉強ではない勉強。
電源の入っているパソコンの画面は、大好きなアッパとオンマがこちらを向いて笑っている。
調べ物をしている画面を隠しているから、スンハが何をしているのかグミには見当もつかない。
「そんなに勉強をしなくてもいいのに。アッパみたいにつまんない大人になるわよ。」
「アッパはつまんなくないよ。オンマを、すっごく愛しているんだから。だけど時々は他の方に目を向けて欲しいんだけどね。」
「スンハは良い子ね。あまり遅くならないうちに眠るのよ。」
何も知らないグミは、スンハの部屋を出て行った。
グミが出て行ってすぐに、スンハは教科書の下に隠したノートをまた出して広げた。
「危ない危ない、おばあちゃんに見つかったら、大袈裟になるから隠しておかないと、この計画は上手く行かなくなる。」
明日のアッパは・・・夜勤だったっけ、という事は・・・・・・で・・・・朝オンマをチェックしないとね。」
スンリからのメモを見ながら、又何かを書き込み始めた。
「スンリ、早く幼稚園の用意をしなきゃダメでしょ。」
毎朝のハニの日課の様なスンリの世話をやく声。
ダイニングにはミアとハニが、それぞれのまだ幼い子供たちに授乳をしている。
グミはスチャンの出勤のための支度をしながら家族の食事を並べる。
スンジョは今日が夜勤なので、夜勤の時は昼ごろまで眠っている事が多い。
賑やかなペク家の朝は、スンハとスンリが家を出るまで続く。
「オンマ・・・・・・」
「なぁに?スンハ」
「何だか一段と今日は綺麗な肌だね。いい事でもあったの?」
冷めた目で言うスンハの表情は、ペク家の血筋だ。
「な・・・・・・何を言っているの、この子は・・・・・・・」
真っ赤な顔をして動揺するハニを、ニヤリと笑った。
まるで意地悪を言ったりからかったりする時のスンジョのように・・・
「オンマ・・・昨日の夜、アッパに大事にされたのね。」
ハニとミアは固まり、グミはスンハの言葉に次に何を言い出すのか期待を込めて待っている。
「だ・だ・だ・大事にって・・・・な・な・な何の・・・・・・・・・」
とても10歳の子供とは思えない大人びた言葉を言うスンハは、容赦しないでとどめの言葉を放った。
「オンマ!オンマの胸にキスマークがいっぱい付いているよ。」
「えっ!?」
「行って来まぁ~す。」
そう言ってすぐにスンハは逃げるように学校に出掛けた。
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