小さなライバル達(スンハ) 41
スンジョが昼近くに起きた頃には、スンハもスンリも学校や幼稚園に出掛けていて、家の中は静かだった。
ハニは、リビングでスンミを抱いて、服の襟元から覗いてはため息を吐いていた。
「何をしているんだよ。」
「アッ!スンジョ君!」
スンジョは、辺りを見回してハニの唇にKissをした。
「ダメよ。」
ハニは、誰かに見られていないかを確認した。
「何を挙動不審な事をしているんだ?お袋もいないだろう?」
耳を澄ませ、首を伸ばして誰かいないかハニはまるで鶏のように動いていた。
誰もいない事を確認すると、ブラウスのボタンを外し始めた。
「なんだ?オレを誘っているのか?それもリビングで。」
「んもぅ!違うってばぁ!ねぇ・・・・付いていないよね。」
ハニが何を聞いているのか判っていたが、少し意地悪をしてみたくなった。
「付いているというか・・・・・付いていないというか・・・・お前の胸はスンミのお蔭で今は大きいけどな。」
「や・・・・やだ・・・そんな事じゃないけど・・・・・スンハがね・・・・キスマークが付いてるって言うの。さっきから見ているんだけど、私から見えない所に有るの?」
昨晩は確かに幾つか付けたが、オレはお前みたいに何も考えずに付けると思っているのか?
「お前からもオレ以外の他の奴らからも、見えない所にしか付けていない。」
ハニは、そう言ったのに必死になって探している。
スンミの授乳がなかなかやめられないと言っていたから、胸が見えそうな所には付けなかった。
オレはハニの一番弱い耳に囁いた。
「お前はスンハにからかわれたのに気が付かないのか?オレがそんな子供でも判る所に付けるとでも思っているのか?」
「フゥー、どうして私はまだ小学生の自分の子供にもからかわれるのかしら・・・・・情けない・・・・・・・」
「スンハは大人の事情など知らないから、お前をからかっただけだよ。大体妊娠初期のお前にオレが無理をさせるわけないだろう。」
「そうね・・・・・・でもね・・・なんだか最近スンハとスンリが二人でコソコソとやってるの。スンハに逆らえないスンリを利用して・・・・・」
「兄弟仲が良いなら問題ないだろう?さぁ、スンミをベッドに寝かせてオレの食事の準備をしてくれないか?」
確かにハニに言われる前から、スンハが何やら隠れてしている事には気が付いていた。
両親の秘密を探ろうと、時々オレの机に来ては本を開いてみたり、ハニのドレッサーの引き出しを開けている姿は見てはいた。
それがただ両親の秘密を探ろうとしている事とは思わなかった。
オレと似ているスンハだから専門書を見たいのかと思ったり、それか今どきの女の子らしく化粧にでも興味があると思っていた。
「いい?スンリ。今の所は、特に何も心配はないけどいつかは決めなければいけない事なんだよ。」
「うん・・・・・僕・・・・嫌だな。」
弱気な発言をするスンリをギロリと睨んだ。
スンハが睨むとまるでスンジョにソックリで、心臓まで凍らせてしまいそうに冷たい視線を向ける。
「スンミが大きくなって、オンマのお腹にいる赤ちゃんが産まれたら、オンマはまた仕事に戻るんだよ。そうなった時に、私とスンリの役割がはっきりしていないと、小さい妹や弟にオンマとアッパを取られちゃう事が判らないの?」
「判んないよぅ・・・・アッパもオンマも僕のアッパとオンマじゃなくなるの?」
「そうじゃなくて、私とスンリは学校に行っているから、自分の事は自分でやるからって言えばいいと思うじゃない。ただ私たちは早く産まれただけ、時々は甘えたいんでしょ?スンリは。」
スンハは弟に解りやすく話そうと思っても、僅か5歳の子には理解など出来るはずがない。
正直に両親に甘えたいと言いたいスンハだが、周囲から自分で責任を持って何でも出来る優等生と思われている事が淋しかった。
もっともっとオンマに甘えたいと思っていると、オンマに赤ちゃんが出来たりアッパと仕事に行ってしまったりで、結局甘える事が出来ない。
アッパが浮気をしていると脅迫して、アッパを自由にしようと思っていた計画は失敗した。
「明日はこのミッションをしなさい。難しくないから・・・・・・・こんな事は普通にあるからアッパにも怒られないよ。」
スンハはスンリが幼稚園から持って来た手紙を、新たなミッションとしてスンリに命令をした。
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