小さなライバル達(スンハ) 42
スンリは緊張していた。
姉スンハのミッションは、オンマの少し早い登場で失敗したから、今度は自分が失敗する訳にはいかない。
「私が塾に行っている間に、ミッションクリアするのよ!」
表向きスンハは自分達がスンミと次に産まれる兄弟のせいで構ってもらえなくなるという事だが、本当は只もう少しオンマに構って欲しいというのが本音。
女の子にはオンマ
男の子にはアッパ
「アッパ!」
スンジョが夜勤明けで眠っていると、勢いよく寝室のドアが開いた。
スンリの大きな声で、眠り始めたばかりのスンジョは頭を上げた。
「ん?何だ?」
「オンマは?」
ちゃんと話す事の出来る年齢のスンリが、単語でスンジョに聞いて来る。
「下で、スンミといるんじゃないかな?アッパは朝帰って来たから・・・・・寝かせてくれないかな?」
「判った!」
バタン!!____
勢いよく閉めたドアは、寝不足の頭に響いた。
いつもはこんな風にしないスンリが、まるでスンジョに眠らせないようにしている感じがする。
何かスンハもスンリもオレに言いたい事でもあるのか?
やたら兄妹が仲が良いのはいい事だけど・・・・・・最近二人でスンハの部屋に籠っているのがおかしい気がする。
子供のおかしな行動が気になりながらも、昨夜の緊急搬送された患者の処置で疲れていたスンジョは、ふたりの子供達の行動に疑問はあるが部屋が静かになると直ぐに眠りに入って行った。
「オンマ、幼稚園まで今日も送ってくれるの?」
「今日はおばあちゃんが送ってくれるって、今エンジンを掛けて準備をしていたよ。もう行こうか?」
スンリはハニのそばに寄って来て耳元で聞いてきた。
「オンマは、どうしてアッパと結婚したの?」
「どうしてって・・・・・・アッパが大好きだからだよ。オンマはアッパがいないと生きて行けないから。ちょっとスンリには難しいかな?」
スンリはスンハにオンマに聞く事を一つずつ伝えていた。
それを思い出しながら、ハニにいくつかの質問をした。
「アッパはオンマの事を本当に好きなのかなぁ・・・・・・・」
グサリと刺さる様なスンリの言葉。
三人の子供が出来て今は四人目の子供がお腹にいるが、今でもスンジョが本当に自分の事が好きなのか確かに迷う時がある。
無邪気に何も考えずに言う子供に言い返す事も出来ない。
「何を言うのよ。す・・・・好きだから・・・・スンハとスンリとスンミが産まれた・・・んだけど・・・・・・」
「ふぅ~ん、あのね・・・お姉ちゃんが言っていたけど、アッパ・・・この間ね、背が高くて綺麗な女の人と歩いていたって・・・・言ってた。」
「そ・・そう?た・・ただの友達よ・・・・・」
動揺しているハニの気持ちも知らず、スンリはグミに呼ばれて玄関を出て行った。
「スンジョ君がまさか・・・浮気?もしかしたら、スンハがそれを見たからあの下着をスンジョ君に・・・・・・」
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