小さなライバル達(スンハ) 44
「スンハ、ちょっといいかなぁ・・・・・」
「何?」
冷たく言った時のスンハは、スンジョと本当によく似た表情をする。
「ちょっと・・・・オンマと話さない?」
「・・・・・・・いいよ・・何?」
苦手だな・・・・・こういうのは。
スンジョ君みたいに頭が良ければ何の苦労もしないで、スンハに聞き出す事が出来るんだけど、スンジョ君ソックリの目で見つめられると、10歳の子供にも負けてしまいそう。
「こ・・・このケーキ食べながら話そうか・・・・・。」
嫌な予感がした。
玄関のドアを開けた時、スンミを抱っこしてオンマが、私が家に入るのを待っていたから。
「ただいまぁ~」
何気ない言い方で普段どおりに言ったけど、オンマがモジモジとしているのに、スンリの作戦が失敗したのだと思った。
「スンハ、ちょっといいかなぁ・・・・・」
「何?」
ぶっきら棒に言った言い方に、オンマがビクッとしたのが判った。
知ってる・・・・・私のこういう言い方がアッパに似ていて、ごくたまにオンマとアッパが喧嘩した時に、アッパがこんな言い方をするとオンマが凄くビクビクしてしまう事を知っている。
おばあちゃんが言っていた。
昔アッパがオンマをこういう言い方をして、意地悪をしていたと。
だから、こういい方はしないであげてって・・・・・
ケーキにつられるのはちょっと情けないけど、こうしないと自分のイメージが崩れてしまうような気がした。
「何かオンマとアッパに隠してない?」
「別に・・・・・・」
「そう・・・・・・アッパが背の高い女の人と歩いてたって・・・・・・」
なぜなんだろう・・・・・オンマの悲しそうな顔。
別に他の人と浮気してたなんて言ってないのに、どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだろう。
「綺麗な人だったよ・・・・・」
オンマが悲しそうな顔をしていたと思ったら、ニコッと笑って私の頭をなぜた。
「ミンジュって覚えていない?よくスンハを可愛がってくれたんだよ、赤ちゃんの時に時々遊んでもらったんだよ。スンハは凄く懐いてたの・・・・覚えていない?」
「覚えていないって・・・・言うか・・・・・」
「スンハが見たのはその人なんだって。」
一生懸命にミンジュの話をするハニを、スンハは黙って聞いていた。
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