小さなライバル達(スンハ) 45
「ウソでしょ・・・・・スンハは一度会った事のある人を忘れる事はないのだから、いくらオンマが忘れっぽくて頼りが無くても、あなたを産んだ母親なんだから、隠れてスンリと一緒に何をしているのか話しなさい。」
唇をグッと噛みしめて話そうとしないスンハにハニは頬をピシッと叩いた。
「親をバカにしているの?オンマはそんな風な子供は嫌いよ。アッパだってスンハが親に隠し事をしているのは嫌いだと思うよ。」
いくら大人びた子供でも、両親から嫌いだと言われればショックだ。
ポロッと涙が頬を伝って手の甲に落ちた。
「ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・・オンマ達・・・スンミが産まれたら私たちの事を構ってくれなくて・・・ほんのちょっとオンマとアッパをからかって・・・・・・そしたら構ってくれるかなって・・・スンハは女の子だからオンマと一緒にいたいのに、スンリがいつもオンマのそばにいるから・・・」
ハニはスンハが母親に構って欲しくて、スンリを利用して親をからかっていた事を知った。
考えて見ればハニはスンハの年齢の頃にはママが亡くなり、パパがハニを淋しがらせないようにしていたが、女の子にはママでしか言えない事があった事を思い出していた。
「スンハ・・・・・もしかしてあなた・・・・・生理が来たの?」
「えっ?」
「考えてみたら、オンマはスンミが産まれる前はスンリに掛かりっきりで、スンミが産まれたらスンミに掛かりっきりで・・・・・ごめんね・・・オンマ、無責任だよね。一人の大切な娘の身体の成長も気が付かないで、三人のお母さんになって。いつ来たの生理・・・・・・」
顔を赤くしてモジモジと答えた。
「スンミが産まれるちょっと前・・・・・・」
そうか・・・あの頃かぁ・・・・
「で・・・どうしてオンマに話さなかったの?誰にその・・・・・用意してもらったの?」
私はパパに言えなくて、こっそりお風呂で下着を洗っていたっけ。
こんな時はママがいたらって・・・・それなのに私は自分の娘に可哀想な事をしてしまった。
「最初・・・・・病気になったんだと思って、アッパの机にある本で調べようと思って・・・・その時に赤ちゃんが出来るまでの事を読んでいて・・・・・病気じゃないって解ったけど・・・・どうしていいのか判らなくて・・・ネットで調べたの・・・・オンマはお仕事で帰って来ないから・・・・おばあちゃんに話そうかなと思ったけど・・・・・恥かしくて・・・・・・・構って欲しかった・・・お友達はお母さんとお買い物したりしたけど・・・買い物も最近一緒に行か無くて・・・・・」
「で・・・・アッパに浮気防止の下着を買ったのは何なの?」
「そ・・・・それは・・・・・アッパが浮気をしたら、オンマは私に相談をしてくれるかなって・・・・それでスンリと兄弟同盟を作ったの。ただそれだけ・・・・・」
コソコソとスンハがスンリとしていたのは、構って欲しいからした子供のいたずら心からだと思うと、いくら大人びていてもスンハはまだ10歳の普通の女の子だとハニは思った。
「おいで・・・・・・スンハは淋しかったんだね。スンミが産まれて手が掛かっていても、オンマはスンハが頼りなんだよ。今度産まれてくる赤ちゃんも、スンミもスンリもみんなオンマにとって大切な子供なの。淋しいという時はちゃんと口に出して言わないとダメだよ。淋しいって言うのは決して恥ずかしい事じゃないんだから。」
ハニはスンハをギュッと抱きしめて頬を寄せた。
親にとって子供は誰が一番可愛いのかは決められない。
イタズラや困らせる事をするのは、子供が親に言いたい事を言葉で言えない表現の仕方だという事をハニは知った。
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