小さなライバル達(スンハ) 63

両親や大人がいない間に起きたスンミの急な体調の変化。

必死に涙をこらえながら、父スンジョからの指示に従ってスンミの介抱をしているスンハの横でスンリは、怖くてガタガタと震えていた。

「お姉ちゃん・・・・・・スンミは死んじゃうの?」

「大丈夫、体温計を取って。」

スンハの指示に従って動いているスンリは、姉に抱かれている妹の顔を心配そうに覗いた。

「スンミの顔・・・・赤くないよ・・・・」

「そうだね・・・37.2度・・・良かった・・・もう大丈夫だよ・・・ぅっ・・・ぅ・・・ぅぅぅ・・・」

スンミの熱が下がりホッとしたのかスンハは涙が流れて来た。

何でも出来る手のかからない子供。

そう言われて来たから、声をあげて泣く事がスンハには出来なかった。

ガレージの開く音が聞こえると、スンリが窓際に駆け寄り叫んだ。

「お姉ちゃんアッパの車だよ。」

スンリはスンハにそう言うと、スンジョとハニが家に入って来るのを待ちきれずにガレージに向かって飛び出した。

「スンミ・・・・スンミ・・・・オンマが帰って来たよ・・・・・良かったね。」

少し前までのスンミの苦しそうな呼吸は、熱が下がって来て安定した呼吸に代わっていた。

「スンハ!」

待っていたオンマの声を聞き、振り返ると、自分の腕の中で眠っているスンミではなく、自分を心配そうに見ていた母の顔を見たとたん、抑えていた気持ちが緩んで大きな声をあげて泣きだした

「オンマァ・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・・・本に夢中になって・・・・・スンミにオンマが用意した飲み物を飲ませなくて、ごめんなさい。」

ハニはスンミを抱いているスンハをギュウッと抱きしめた。

「オンマこそごめんね。スンハにお願いしちゃって・・・・・・もう大丈夫よ、大丈夫だから・・・・・」

初めて声をあげて泣いているスンハの背中を、安心させるようにトントンと叩いた。

「スンハ・・・・・11歳のお前に頼んだオンマもいけないが、頼まれたのなら本に夢中にならないで責任を持って小さい妹を守らないといけないだろう?」

怒っている様子でもなく、少し突き放すような言い方に声をあげて泣いていたスンハは、泣く事を必死に堪えていた。

「スンジョ君・・・・そんな言い方をしなくても・・・スンハは一生懸命にスンミを看ていたんだから。」

「いや・・そうじゃないだろ。自分に任された事に責任が無ければいけない事はスンハだけじゃなく、アッパにも同じ事だ。アッパもオンマを守ってそして子供たちを守らないといけないのに、少し三人と過ごす時間が少なかったと思う。でも、よく頑張ってアッパの言った通りに出来たな、スンミはもう大丈夫だ。スンハも疲れただろうから、少し部屋で休んで来なさい。」

スンミをスンジョに任せて、ハニはスンハに付き添って部屋に連れて行った。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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