小さなライバル達(スンハ) 65
近づく出産に備えて、スンジョの着替え・スンハにスンリとスンミの着替えを入れ替えていた。
寒さが緩み季節も冬から春に変わる頃に産まれて来る予定だった。
古いベビー服が、スンハの引き出しから出て来た。
「懐かしい・・・・・これはお母さんから貰ったスンジョ君のベビー服。スンハが女の子だったから、スンジョ君が来ていた女の子の服を沢山もらったんだった。」
スンミは早産で小さく産まれたから着る事のなかったベビー服。
スンリは男の子だったから、新しいベビー服をグミやまだ結婚したばかりのミアと買い集めた。
「スンジョJr 、あなたを待っている家族がいるのよ。元気で産まれて来てね。」
お腹に話しかければ、聞こえているのかよく動いている。
まだ保育園にも行っていないスンミも、トコトコと歩いて来てはハニのお腹に触れて何か話をし、幼稚園に行っていたスンリもいつの間にか小学生になり、スンハと一緒に通っている。
そのスンハも来年には中学校に上がる。
スンジョもハニも親になってから12年。結婚してから17年経っていた。
ウンジョは家に戻り、毎日スチャンの後継者として忙しく動いていた。
スチャンは、昔患った心臓の具合が悪く最近パラン大病院に入院した。
「この子が産まれるまでもつかな?」
スンジョが、昨夜病院から帰って来てからハニにそう話した。
出産間際のハニは、グミやスンジョに言われて、前回の出産の事を考えて、負担になるからとお見舞いに行けない事を申し訳なく思っていた。
父ギドンが店に出て行くと、家にはハニとスンミの二人だけになってしまう。
いつかは訪れる、大切な親との別れ。
自分の母親と別れた時はまだ幼くてあまり覚えていない。
「ただいまぁ。」
スンハとスンリが学校から元気に帰って来た声がした。
ハニが返事をすると、二人は駆け足でハニがスンミと休んでいる寝室に入って来た。
ドアが勢いよく開くと、眠っているスンミがビクッと動いた。
「シーッ、スンミが寝ているの・・・・・・」
スンハとスンリは両手で口を押えた。
抜き足差し足とベッドで休んでいたハニに近づくと、二人はハニの大きなお腹にそっと触れた。
「ただいま・・・・赤ちゃん。お姉ちゃんが帰って来ましたよ。」
「お兄ちゃんもだよ。」
それに応えるようにお腹の子供がポコッと動いた。
「返事したよ!」
嬉しさでつい大きな声を挙げたスンリの口をスンハが塞いだ。
「ねぇ、スンミがもう少ししたら起きるから、おじいちゃんのお見舞いに行こうか?」
「行っていいの?」
スンハはハニがお見舞いに行くのを止められている事を知っている。
「大丈夫よ。出来るだけ行ける時はお見舞いに行かないと、後から後悔するの。」
12歳になったスンハには理解出来るが、まだ6歳のスンリにはよく判らなかった。
ハニはベッドから降りて、スンミが起きたらすぐにお見舞いに行けるように着替えた。
0コメント