小さなライバル達(スンハ) 66
ハニは、昼寝から起きたスンミとスンハ・スンリを連れてスチャンのお見舞いにパラン大病院にやって来た。
心臓外科の病室はスンジョのいる外科の上の階にある。
色々な意味でパラン大病院でのハニは有名人。
病院スタッフや外来や入院患者にもハニの事を知っている人は沢山いる。
前回スンミが出産した時の事もあり、一人での外出はスンジョに止められていたが、あまりいい状態ではないスチャンに、見舞いに行かないで後で後悔するのはハニにはどうしても嫌だった。
高校生の時に同居して、実の娘のように見守ってくれ、三人の子供達をとても可愛がってくれていたから、グミから伝授されたバレバレの変装で病院を訪れた。
ベビーカーを押して、いつ産まれるのかというくらいに大きくなったお腹の妊婦姿のハニを、顔見知りの人とすれ違っても誰も気が付かなかった。
「オンマ!何階?」
スンジョは普段、関係者専用のエレベーターしか使わないから見つかる事はないが、スンジョに内緒で見舞いに来た事に緊張していた。
「8階よ。」
急いでエレベーターに乗り込むと、もう一基の方のエレベーターが開いた。
一瞬、スンジョの声が聞こえてハニは死角になる所に子供達を近づけさせてドアが閉まるまで背中を丸めていた。
8階にエレベーターが止まり、ドアが開くとすぐ前にある個室のドアをノックした。
「は~い。」
グミの返事がしてすぐに、スンハとスンリはドアを開けて中に入って行った。
「おばあちゃあん!」
「スンハにスンリそしてハニちゃんまで・・・・・スンジョに内緒ね?」
「判りますか?お母さん。」
「そりゃあ・・・私だってハニちゃんが心配よ。でも、いつもスンジョはハニちゃんを独り占めしているんだもの。パパ・・・パパ・・・ハニちゃんが子供たちを連れて来てくれたわよ。」
グミの声掛けにスチャンが目を開けた。
「お父さん、お加減いかがですか?」
随分薬の副作用で痩せてしまったスチャンは、昔の面影はなくなっている。
「ハニちゃん・・・・来て・・・・そうか・・・・子供たちも一緒に・・・・」
布団から出した手を二人の孫たちが大切な物を持つように握った。
「お父さん、来月に産まれるこの子はとても元気な子ですよ。」
そうか、よかったな・・と言っている安心しているような顔をハニの方に向けた。
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