小さなライバル達(スンハ) 75

「スンハ!」

スンハはハニがいつ来るのかと待ちながら、クラスメートに声援を送っていた。

そんな時に声を掛けられて、スンハは声の方を振り返った。

「おばあちゃん!・・・・オンマは?」

グミはスンハに尋ねられて、悲しそうに首を横に振った。

「どこに泊まって朝を迎えたのか・・・・校門の方に見に行ったけどいなかったわ。本当にスンジョは女の気持ちが分からないんだから・・・・」

グミには内緒でスンハをリーダーにして<兄弟同盟>が、少しずつ動いていた。

お昼頃にハニが見に来るという約束で、グミはスンハを応援しながらハニを捜しに校門に様子を見に行っていた。

一方、スンジョはそれとなくギョルに接触をしてみた。

普通の人ならどうって事がなくてもスンジョにしてみたら、高層ビルから飛び降りるくらいに勇気がいる事は誰も知らない。

「ギョル・・・・昨晩は・・・・・何していた?」

視線を合さないでギョルにプライベートな事をスンジョが聞いた事に、ギョルは驚いていた。

「何していた・・・って・・・・まぁオレは独身の健康的な男ですからね。それなりに楽しんでいましたよ。」

どうとも取れる言い方に、妙に心に棘が突き刺さった事を感じた。

「女性絡みか?」

「珍しいですね、ペク先生がそんな事を聞くなんて。プライベートはあまり話したくないですね。先生も奥さんと喧嘩したとか・・・・そんな事は人には言えないですよね。」

何か知っているような、ひっかかる言い方をしてギョルはナースコールで呼ばれて患者の方に行ってしまった。

午後の診察は合併症などの特別な患者のみで、スンジョは自分の部屋に行き論文のまとめをする事にした。

パソコンを立ち上げて待っている間、昨日のハニとのやり取りを思い出してみた。

「スンジョ君、コーヒーを淹れたから少し休んでね。」

いつもと変わらないハニの淹れたコーヒーの香りが疲れていた身体に沁みるようだったが、予定より少し論文の仕上がりが遅れている事に気持ちにゆとりが無かった。

「そこに置いといて・・・・・・」

ハニの顔を見ないまま、机の端を指で指した。

「ちょっと休憩は出来ない?」

「・・・・出来ない・・・・・・・」

以外に冷たく突き放す言い方にハニがビクッとして、オレは仕舞ったと思ったがそのままパソコンにデータを入力していた。

「話がしたいんだけど・・・・・・・・・」

「今週末まで待てるだろう?」

ハニはオレが計画表に沿って論文を進めたい事は判っているから、直ぐに話したい事くらい気が付いていた。

「スンジョ君は・・・・私や子供たちの事より、出世の方が良いんだよね。」

泣き声に変わっていたハニの方を振り返ると、コーヒーを持っていたトレイとスンジョの肩が触れた。

「熱っ!!」

頭からコーヒーをかぶり、カップは床に落ちて見事に割れてしまった。

普段のハニなら頭からコーヒーを被ったスンジョの姿を見たら、コロコロと笑っていた所が、その日のハニの様子がいつもと違うのもあったが、スンジョ自身の行動がハニの思いもよらない行動に走らせてしまった。

「何をやってるんだ、バカ!もう少しでメモリーカードに掛かる所だっただろう!」

そんな風に言ってはいけなかった。教授昇進の話が出る前だったらこう言っていた。

「ハニ、大丈夫か?お前に掛からなかったか?」

と・・・・・・・・・。

「私の話しより、やっぱりスンジョ君は自分の体面の方が大事だったんだ・・・・・。」

ハニがまるで何か含みのある言い方をしていることが何だったのかスンジョは考えていた。

「いい?スンミ。スンミはアッパの一番お気に入りの子だから、アッパに<大好き>って沢山言うんだよ。」

「しゅき(好き)?って、ゆうの?」

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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