小さなライバル達(スンハ) 81
「疲れていないか?」
夕食の片付けをグミとしているハニに、水を飲みに来たスンジョが声を掛けた。
「疲れてないよ。でも・・・・・スンジョ君と喧嘩して家出したのは2回目だけど、今回は反省しています。四人の子供のお母さんなのに、子供を放っておいて。」
「あら?ハニちゃんは悪くないわよ。スンジョが愛妻をおろそかにしているから、いい機会だったのよ。」
グイッとコップの水を飲み、スンジョはグミを睨んだ。
「おろそかにしていた事は反省している。ハニと話をする事くらい出来たんだけど、本当にオレはハニや子供たちに冷たかったと思って反省しているよ。」
クスクスと笑っているグミはハニが拭いていた食器と布巾を取って、スンジョの方へ背中を押した。
「ハニちゃんもういいわ、お兄ちゃんが反省しているって言っているから、片付けはいいから二人で仲良くしてらっしゃい。」
グミはハニの使っていた布巾で、残りの食器を拭き始めた。
スンジョの後に続いて2階に上がると、スンハがスンジョたちの部屋の前で待っていた。
「どうしたの?」
「アッパとオンマと話がしたくて・・・・・」
「いいよ、入って。」
スンハは他の兄妹が見ていないか辺りをキョロキョロと見廻して、サッと部屋に入った。
久しぶりに入った両親の部屋に、スンハは緊張していた。
「座って。」
スンハをソファーに座らせると、ハニは向かい側のソファーに座り、スンジョはパソコンデスクの椅子をハニの横まで持って行き腰掛けた。
「話ってなんだ?」
初めてこんな風に親子で向かい合った三人。
こういった場面ではスンジョの言葉は冷たく聞こえ、スンハは怖くなってビクッとした。
「スンジョ君、スンハは悪いことをしたわけではないのだから、もう少し優しい言い方をしないと。ねっ?話ってなぁに?」
「私達兄弟で、兄弟同盟を作っていたの。」
「知ってるわ。スンハが弟と妹と仲良くしていたものね。」
「でも、本当はそんな事をしなくても弟たちは可愛いから、意地悪もしたくないの。私はそう思っていたんだけど・・・・・・」
「けど?」
真剣な顔でスンハの話を聞いているハニの横にいるスンジョの顔をチラッとスンハは見た。
「スンリには言わないでね。男の子だからきっと言わないと思うし、まだ知らないから。」
「何を知らないの?スンリには言わないから話してみて。」
自分を見ている両親から目を逸らして、スンハは視線を下の方に向けた。
「スンリね・・・・学校で意地悪されているの。実際にそれを最初に知ったのは私じゃないんだけど、クラスの友達が教えてくれて小学校の方にスンリの様子を見に行ったの。」
「スンリが最近時々考え込んでいたのはそれが原因か?」
「スンジョ君、気が付いていたの・・・・殆ど子供たちとも最近は顔を合せていなかったのに。」
「あのね・・・・・・言いにくいんだけど・・・・・・・もう私たちに兄妹を増やさないで欲しい・・・・・」
意外なスンハの言葉にハニだけではなく、スンジョも驚いた。
中学二年生になれば大人の事情も分かっている。
ましてやスンハはスンジョと同じで一度見たり聞いたりした事は頭の中に記憶してしまうから。
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