小さなライバル達(スンハ) 83
「幸せな家庭?」
「そうだ。家に帰るとおばあちゃんとオンマとミアおばさんが笑顔でお前たちを迎えて、兄妹それぞれが笑ったり話をしたり、たまには喧嘩をしたり。そう言う事は幸せだと思わないか?」
オレはこんな事を子供達に言う権利があるのか?
ハニがオレの前に現れるまでは、スンハに言った幸せは苦手だったはずなのに。
「よく解んないけど、オンマが笑う声を聞くとなんだかホッコリして来る。スンミ達の笑い声も好きだよ。でも・・・・・・」
「でも?」
「たまぁ~に、鬱陶しいなぁ~って思う時もあるよ。」
クスッと笑ったスンジョに対してハニは大きな口を開けてちょっと拗ねた顔をした。
「どうせ、オンマがお皿を割ったり、階段を一段踏み外したりそそっかしくて一番オンマが五月蠅いって言うんでしょ。」
ニコッと笑うスンハが驚くほど久しぶりに声を出してスンジョが笑った。
「自分の事をさすがよく判っているじゃないか。確かにこの家じゃお前が一番賑やかだからな。」
「酷ぉ~い。最近はお皿も割らないし、階段から足を踏み外したりしていないから。」
「判った、判った・・・判ったから。」
スンハは、猫がじゃれ合うようにしている両親に呆れて部屋を出て行った。
スンハが部屋を出ると、バルコニーから外を眺めているスンリが何かを考えている様にポツンと立っていた。
「スンリ、どうしたの?」
「お姉ちゃん・・・・・・別に・・・・・・」
「あんた、学校でからかわれているんだよね。」
姉スンハの言葉にスンリは驚いた。
「知っているの?」
「知っているよ。それでアッパ達と今話をしていたんだけど・・・・・・私たちの両親は、他の友達たちの両親とは違う。」
「違うって?」
「ただのベタベタした両親とは違って、まだ私たちには判らない・・・・・お互いの絆があるみたい。」
スンハを見ていたスンリは、白けた顔をしてまた外を見た。
「よく解んない。」
「兄妹が多いのが嫌なの?」
スンリは首を横に振ってバルコニーに背を向けた。
「僕もアッパみたいな医者になりたいと思って、アッパの机の上の本を見たんだ。お姉ちゃんがいつも見ているあの本・・・・・・・・」
「スンリは産科の医者になりたいの?」
「アッパと同じ外科・・・・・・・で・・・その時その本を見て・・・・・・見なきゃよかった。一度見たら頭に残って忘れられないんだ。」
スンリもスンハと同様に、スンジョの遺伝子を濃く受け継いだからなのか、一度見ただけですべてを記憶してしまう。
スンリはスンハが見ている画像集を手に取って見てしまったのだ。
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