小さなライバル達(スンハ) 85
「お兄ちゃん・・・・ゴホゴホ・・・・」
「スンミ、どうした?」
「コンコンが出る・・・・ゴホゴホ・・・・」
日曜日で学校や保育園は休みだが、今日はスンジョもハニも仕事で家にいない。
「おいで、スンミ。」
スンリはスンミを自分の方に寄せて胸に耳を当てた。
胸が大きく上下し、<ヒューヒュー>と言う音が聞こえる。
喘息の発作だ。
「おばあちゃんは?」
「ミアおばしゃんとウジョンとスンスクとお出かけちた。」
朝から風邪気味だったスンミは、スンハとスンリと留守番をしていた。
「ちょっと待っていて、お姉ちゃんに聞いて薬を出してもらうから。」
大きな発作を起したら入院しないといけない。
「お姉ちゃん・・・・入っていい?」
「う・・・ん、いいよ。」
スンハの部屋に入ると、スンハは出掛ける準備をしていた。
「出掛けちゃうの?」
「バレエの発表会があるから、練習に行こうかと思って。どうかしたの?」
「スンミが咳が出るんだ。胸の音も少しヒューヒュー言っているんだけど、おばあちゃんもミアおばさんもいなくて、薬はどれを飲ませてあげたらいいのか、僕はよく解らなくて・・・・・・」
「咳は酷いの?」
「ううん、まだそんなに出ていない。」
スンハは急いで両親の部屋に行き、スンミの常備薬の箱を探した。
確か・・・・ここに・・・・・
以前、ハニがいない時にスンジョが開けた引出しにスンミの常備薬があるのを見た事が有った。
父親の引き出しに手を掛けた時、一瞬躊躇したが発作がまだ酷くならないうちに処置をしないといけない。
勇気を出して引き出しを開けた。
「お姉ちゃん、判るの?」
「ホクナリンテープを貼れば大丈夫だと思う。」
「すごいね、さすがお姉ちゃんだ。」
「前にアッパが言っていたの、酷くなる前だったら、それで大丈夫だからスンハも覚えておいてって。だから今度はスンリも覚えておくんだよ。」
捜していた物が見つかった。
急いでその箱を引き出しから取り出して、ホクナリンテープを一枚取った。
「スンリ、これをスンミの胸に貼ってあげて。」
スンリはそれを持ってすぐに下で待っているスンミの所に走った。
あれ?あれは何だろう・・・・・・
見てはいけない物だという事は判ってはいたが、スンハの好奇心がそれに手を伸ばした。
綺麗なハンカチのような物で包まれたそれを広げて、スンハはそれが何なのかすぐに気が付いた。
見なきゃよかった・・・・・・
見た事に後悔したスンハは、またそれを元通りに包んでスンジョの机の引き出しの奥にしまった。
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