小さなライバル達(スンハ) 86
あれって・・・・・・
スンリが産まれる前にいなくなった赤ちゃんの写真だ。
まだ私が3歳・・・スンミと同じ年の時に、オンマのお腹にいた産まれなかった赤ちゃん。
アッパもオンマも忘れていないんだ。
スンハはエコーの写真を見て、幼い頃に見たオンマの倒れた姿を思い出した。
保育園の誰かに押されて転んで、血がいっぱい出て・・・・・その後オンマは元気が無くなった。
思い出した・・・・覚えている・・・・あの時の事を覚えている。
オンマは青い顔をして苦しそうにしていた。
アッパは・・・・・アッパも、あの冷静なアッパが慌てた顔をしていた。
大丈夫だよ、アッパとオンマだけじゃなく私も忘れないから、産まれる事が出来なかった妹か弟の事を・・・・・
スンハはレオタードに着替えてバレエシューズを履いて、リビングに降りて行った。
「スンリ、スンミの調子はどう?」
「大丈夫みたい。」
スンミの胸に耳を当てて聞くと、もう胸の音も聞こえなくなっていた。
「コンコン、出ないよ。」
小さなスンミはもう大丈夫だと言う様に元気よく立ち上がった。
そんなスンミの頭をなぜて、いつもするようにソファーと机を動かして、踊れるスペースを作った。
「お姉ちゃん、僕も手伝う。」
「わたちも・・・・てちゅだう。」
役に立たなくてもスンミなりに一生懸命にスンハとスンリを手伝って、踊る場所を一緒に作った。
動かしたソファーに座って、スンリとスンミは並んでスンハが踊っているのを見ていた。
スンジョから特に運動を制限されているわけでもないが、スンミはスンハの動きに合わせて楽しそうに身体を動かしていた。
「スンミ、踊ってみる?」
「うん!」
ピョンとソファーから降りて、スンハの方に走り寄った。
「いい?背中を伸ばして、顎を少し上げて・・・・そうそう・・・・・お姉ちゃんが支えているから大丈夫だよ・・背伸びをして・・・・」
自分はあまりバレエは好きじゃなかったが、女の子が欲しかったグミがスンジョの反対を押し切って習い始めた。
「上手、上手・・・・スンミは上手だよ。お姉ちゃんが習い始めた時よりも上手だよ。1・2・3はい手を伸ばして・・・・背中を伸ばして・・・・・1・2・3・・・・・・」
スンハに褒められてスンミは嬉しそうに一生懸命に踊っていた。
「楽しいね・・・・」
身体の弱いスンミが初めて汗を流して、楽しそうに踊っている姿を見てスンハはスンミに聞いてみた。
「バレエを習いたい?」
「うん!!習いたい!」
スンミが初めて自分で意思表示をした。
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