小さなライバル達(スンハ) 87
「スンミ、見ていてね。」
流れる曲に合わせて踊るスンハを見慣れているはずなのに、少し教えて貰っただけでスンミはその一つ一つの動きをまるで頭に刻み込むようにして見ていた。
僅か一分半の曲を踊り終わった姉に、小さい手で興奮した様子で拍手をしていた。
「スンミ・・・・・踊りたい。」
そういてスンハの前に出て来た。
曲の準備をしている間、さっきスンハが取っていたポーズをしていた。
上手とは言えないが、それ何に踊っているスンミは自信にあふれていた。
いつものように夕飯はグミたちの賑やかな声がする食卓だった。
「ねぇ、スンミも3歳になった事だし、何か習い事を始めたらどうかしら?」
「そうだな。」
素っ気ないスンジョの答え方にも、スンミは自分の事を言っているのだと判っているから、次に誰が話すのかワクワクしていた。
「スンミは、身体が弱いし体力もないから皆に付いていけるか・・・・」
ワクワクした表情から、ガックリとした顔になった。
「スンミ・・・バレエが習いたいと思うよ。」
スンジョソックリな素っ気ない言い方をしたスンハの顔を見て、大人達はスンミの顔を見た。
「習いたい!!」
椅子から立ち上がりそうになるくらいの勢いで、スンミは両手を挙げた。
「無理よ。踊っているうちに発作が出たら、皆に迷惑がかかるわ。」
「習いたい!習いたいも!」
大人しくて、自分の我が儘を通した事のないスンミが、多分初めてなくらい必死な顔をして思った事を話した。
「昼間、私が踊っているのを見て直ぐにそれらしく踊ったよ。それに私は、バレエあまりやりたくないから、スンミが習ってくれると、おばあちゃんも嬉しいと思うよ。」
自慢の姉の発言に、期待を込めたスンミの瞳が輝いた。
「バレエをやらせてあげましょうよ。」
グミに言われても、ハニは決めかねていた。
「ても・・・・」
身体の弱いスンミにバレエが出来るだろうか、という心配があった。
「習わせてやれよ。運動を避けていつまでも今のままえいる事はよくない。」
スンジョの一言で、スンミの初めての習い事がバレエになった。
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