小さなライバル達(スンハ) 88
スンジョの一言で決まったスンミのバレエ教室。
不安なハニとは反対に、グミのパワーが大きくなっていた。
「スンミや、このレオタードはどう?」
「可愛い!!」
「これとどっちを今日は着たい?」
「こっち!!」
グミは出かける度にレオタードや小物を買い集めていた。
「お母さん、そんなにいくつも買ってくださらなくても、スンハのお下がりがあるから・・・・」
「何を言っているのよ。スンハにはスンハに似合う物を買ったのだから、スンミにはスンミに似合う物を買ってあげないと。それにバレエシューズやトゥシューズはその子にしか履けない物じゃない。私の夢を叶えてくれたハニちゃんに感謝してそのお礼のつもりよ。」
スンジョとハニが可愛い孫を増やしてくれて、グミの今の楽しみは孫との生活だった。
スンジョが日々忙しく、ハニはハニで仕事とあと半年後に新たに誕生する5番目の子供の出産で、四人の子供の世話をどうしてもグミに頼ってしまっていた。
先月ウンジョが無事に義務を果たして帰って来てからは、家の中がまた一段と活気あふれていて、ペク家が今一番賑やかな時期でもあった。
「お姉さんお母さんそれでは今からウジョンとスンスクを連れてスイミングに行って来ます。」
「ミア、いつもありがとう。」
「いいえ・・・お姉さんと違って、私は専業主婦なんですから、何でも言いつけてください。」
大人しいミアがいつもスンスクのスイミングを、自分の子供と一緒に連れて行ってくれていることに、ハニは申し訳なく思っていた。
「オンマ・・これ、かわいい?」
「可愛いよ。」
スンジョが言うとおりにしてよかったと思う反面、心配もあった。
あの日スンジョが言った事をハニは思い出していた。
「好きな事をやらせてあげればいいじゃないか。身体が弱い身体が弱いと言って、何もやらせないより、何かに挑戦させるチャンスを小さい内に与えるのも良い事だと思う。スンミは子供たちの中で一番ハニの性格を受け継いでいるのだから、自分が決めた目標に向かって乗り越えられる事が出来るから。」
スンジョが一番可愛がっている子供のスンミは、文字は人の倍は掛かって覚えているが、数回通ったバレエ教室での表情は、キラキラと輝いて自信を持った表情になっていた。
一日一つずつポーズを覚え、家に帰ってからも熱心に踊っていた。
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