小さなライバル達(スンハ) 89
バレエを始めてからのスンミは、風邪も引かず熱も出さず、元気に過ごしていた。
月に一度は具合が悪くなり、保育園を一週間休んでいたのが、一日も休まないで通えるようになっていた。
ハニのお腹もだいぶ大きくなって、産休を取る時期となっていた。
「オンマ、今日はパク先生の所に行くの?」
「そうよ、どうして?」
「私も付いて行きたいけど・・・・・学校を休んだらダメかなぁ・・・・・・」
将来はパク先生の様な産科医になりたいスンハは、毎回の定期検診が近づくとハニに付いて行きたい気持ちがあった。
「学校は病気やけがじゃないから行かないとダメだよ。自慢じゃないけど、オンマは頭は悪かったけど、無遅刻無欠席で過ごしたのよ。」
「自慢じゃん!でも、これを渡してくれるかなぁ・・・・学校は休んじゃダメだと言うと思っていたから、手紙を事前に書いたの。」
女の子らしい封筒をハニに差し出して、スンハは外で待っているスンリと一緒に学校に向かった。
「スンハはまた何か企んでいるんじゃないだろうな。」
「あっ!スンジョ君、もう起きたの?」
夜、日付が変わった頃に帰宅したスンジョは、子供たちが学校に出掛ける声で目が覚めたのだった。
「疲れすぎた訳じゃないけど、寝付けられなくて。」
リビングのテーブルの上の新聞を取ってソファーにゆったりともたれた。
「コーヒーを今淹れるから、待っていてね。」
「いや・・・・・まだいらない。ハニ、こっちに来て一緒に座らないか?」
スンジョがこんな風にハニを呼ぶと、昔と変わらない笑顔で飛び跳ねるようにスンジョの方に走って来る。
そして、こんな兄を見るとダイニングで朝食を摂っていたウンジョは急いで食べ終えて、ミアとウジョンを連れて仕事に出掛ける準備に入る。
「何を慌てているんだよウンジョ。」
「オレ達親子がお邪魔だと思って・・・・・・スンミとスンスクもおじさんと一緒に外に行こうか?」
「アッパといる。」
スンジョ大好きスンミは、保育園の鞄を持って父スンジョの傍に行こうとしていた。
そんなスンミに続いてスンスクはいつも行動している。
別にスンジョはハニと朝っぱらから何かするわけでもないのに、ウンジョは久しぶりに休みが揃った兄夫婦二人だけにしようと気を効かせたのだった。
「何だかあんなウンジョ君を見ていると、あの小さかったウンジョ君がお父さんになったんだと思うと不思議だよね。」
「そうだな、オレ達も結婚してもう18年も経ったしな。それにしても今朝は冷えるな・・・・・・」
12月に入ると空もいつ雪が降るかもしれない黒い雲の日が増えていた。
「上着を持って来ようか?」
「いらない・・・・ハニをこうして抱いているだけで温かい。」
「ダメよ・・・・・いつウンジョ君たちが戻って来るかわからないから。それにこんなところで・・・・・・」
コツンとハニのオデコを叩いた。
「相変わらずお前の空想は飽きないな。寒いからハニを炬燵代わりにしたかっただけだ。今日の検診は何時からだった?」
「11時の予約、でその後は買い物をして帰ろうかな・・・・なんて計画をしていたの。」
「それじゃあ・・・着替えて来るか。」
「一緒に行ってくれるの?」
「家にいてもお前が心配だからな。」
優しいスンジョのセリフにハニは嬉しそうに笑った。
スンスクが産れるまで、検診にはいつもスンジョが付き添っていた。
ハニは嬉しそうに笑ったが、本当のスンジョの気持ちを知ったらきっとふくれっ面をした事だろう。
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