小さなライバル達(スンハ) 90
「順調に成長してますね。」
パク先生のエコー診察はいつもハニにとって楽しみの一つだった。
他の妊婦さんからもパク先生は評判がいい。
穏やかな先生の物の言い方は、初めての出産で不安な妊婦や、ハニのように何度か出産した女性にもホッとした気持ちにさせてくれる。
「先生・・・・・赤ちゃんのこれは・・・・」
「おい、ハニ・・・・指を指すなよ。」
クスッと笑ったスンジョの意味が最初は判らなかったが、かなり大きく成長した子供だから映像にもはっきりと細かい所まで判るようになっていた。
「・・・・・もしかして・・・・お・・・・」
急にハニは恥ずかしくなって来た。
「男の子ですね。オ看護師が指した物は女の子には付いていないですから。」
5人目にして初めて産れる前に性別が判った。
パク先生が、一番見やすい所でエコー画像を印刷をしてハニに手渡した。
「特に問題もありませんが、年齢もありますから塩分には気を付けて産休中も適度な運動は忘れないようにしてくださいね。」
スンミは予定よりもひと月も早い出産と一年も経たないうちに妊娠したスンスクの事もあったが、年齢や一度流産した経験もあるハニは、今回は早い段階で産休に入ることにした。
「先生、この子は今までの中で一番小さかったスンミに次いで小さいですね。」
パク先生はクルッと椅子を回転させてスンジョの方に身体を向けた。
「流石ペク先生、気が付かれましたね。でも、小さいですが特に問題はないはないですね。スンミちゃんはひと月早い出産だったので小さいですが、産休を取って自宅でのんびりと過ごされると標準になりますよ。」
診察台から起き上がって身支度を整えたハニは、スンハから預かって来ていた封筒を思い出した。
「先生、今日スンハから手紙を預かって来たのですが、受け取ってもらえますか?」
「スンハちゃんからの手紙?もちろん受け取りますよ。スンハちゃんは私にとっても孫みたいにかわいい子ですからね。」
ハニの鞄からスンハから預かった封筒を出して手渡した。
パク先生はスンハからの手紙を受け取るとすぐにそれを読み始めた。
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