小さなライバル達(スンハ) 92

「ただいま。」

「お帰りぃ~。」

定期検診が終わり家に帰ると、いつも決まってまだ幼いスンミとスンスクがハニに掛け寄ってくる。

リビングのソファーにゆったりともたれて本を読んでいるスンハは、少し身体を起こして笑顔でハニを迎えた。

「お帰り、オンマ・アッパ。」

「ただいま。」

スンジョがスンハに応えただけで、ハニは何も言わずキッチンに向かった。

「スンミ、お兄ちゃんにおやつよって行って来て。」

「は~い」

スンミはスンジョの頬にお帰りのキスをして、二階の自分の部屋にいるスンリを呼びに上がって行った。

「オンマ~、パク先生に手紙を渡してくれた?」

「・・・・・・・・・」

返事をしないハニの後姿から、怒っている事がスンハには伝わって来た。

「ねえ・・アッパ。オンマは怒っているの?」

「かなり・・・・」

ヒソヒソと話をしている事すら聞こえないくらいにハニの怒りはかなり酷いもののようだ。

「手紙の内容・・・・・パク先生に聞いたんだよね。」

「聞いたよ。言わなければいいのに、アッパもオンマをからかったからアッパにも口を利いてくれないんだ。」

「スンスクこっちにおいで、ケーキを買って来たから。」

スンジョの膝の上に座っていたスンスクは、すとんと降りてダイニングテーブルに着いた。

その後ろをスンハとスンジョが揃って付いて来ると、ハニの怒りはしばらく続く事を物語っていた。

「おい、ハニ・・オレとスンハの分のケーキは?」

「無いわ。スンジョ君は甘い物は食べないでしょ?スンハはケーキを食べると体型に響くから買わなかったわ。」

スンハはハニと違ってスレンダーで食事制限をしなくてもいい体型な事は判っているはずなのに、自分と同レベルと言うより子供っぽいハニに呆れていた。

「仕方がないね、アッパ。」

「どっちが子供か判らないな。」

自分たちのおやつがない事にそこにいても仕方がないと思い、スンジョはスンハに目配せをして二階のスンジョの書斎に入って行った。

「あの手紙の内容は良くないな。でもスンハはパク先生がオンマに話す事を知っていただろ?」

「判った?でも、あの手紙でオンマが怒るとは思わなかったな。本当に純粋な気持ちで書いたんだけど・・・・・・・同じクラスの中じゃあオンマもアッパも若い方だから、私が医者になった頃でも兄妹が増えてもいいかなって思ったんだけどな・・・・・」

ハニが子供に対して怒るのはスンハだけ。

時々ハニが怒るとこうしてスンジョの書斎に入って、新しく増えている本を探しては並んで本を読んでいる事が有る。

「食べるか?チョコレートクッキー・・・・オンマが作ったのだけど。」

甘い物が好きではないスンジョのために、ハニが作った特製チョコクッキー。

甘い砂糖を入れないで作ったにもほどがあるほど苦いチョコレートクッキー。

「おやつを期待していたから、このクッキーで我慢しておこうかな?」

苦い上に堅いチョコクッキーは、スンジョが食べるただ一つのお菓子。

<ガリッ>

歯が折れそうなほどのこの堅さも、スンジョとハニはお気に入りだった。

「また今回もオンマの怒りは長いのかなぁ・・・・・クリスマスの頃には機嫌が直っているといいんだけど。」

「そうだな・・・そうしないとアッパは書斎で寝ないといけないし・・・・・何とかするから待っていてくれよ。」

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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