小さなライバル達(スンハ) 94
パチンと壁のスイッチで天井灯を点けたと同時に、スンジョの顔をめがけて枕が飛んで来た。
____ボスン!
顔に当たる寸前に枕を両手で受け止めたスンジョは、驚いた顔をしてベッドで眠っているはずのハニの方を向いた。
「起きていたのか?」
「スンジョ君は、書斎で寝て!!」
そう言うとハニは布団を頭から被って顔を隠した。
子供みたいに拗ねたハニを見ると、笑う事が我慢できなくなって来るし、からかってみたくもなって来る。
「や・・・・やめて・・・・・や・・・・・やだ・・・・」
最初は我慢をしていたが、脇腹を擽られるのが弱いハニは、起き上がってベッドに座った。
「ハニ、ご機嫌を直せよ。言い過ぎた・・・・明日は早いから布団に入らせてくれ。」
「私、一人で眠る練習をさせていただきます。なのでスンジョ君も一人で眠る練習をしてくださいね。」
今回はちょっとやそっとの事でハニの機嫌は良くなってくれそうもない気がした。
ハニがその気なら・・・・・お前の弱点を知っているのはオレしかいないからな。
「そうか、それならそうしよう。」
開き直ったようなスンジョの言い方に、ハニはビックリとした顔をした。
クローゼットからスンジョは出張の時に使うキャリーバックを持ち出した。
「何をするの?そんなのを持ち出して・・・・・」
「荷物をまとめて、病院のオレの部屋で今日から生活をする。」「ハニの横で眠れなくて淋しい思いをするくらいなら、病院で寝泊まりした方がましだ。きっと看護師が、淋しい思いをしているオレの身の回りの世話を喜んでしてくれるしな・・・・・・結婚生活も18年で終わりかぁ・・・・・・死ぬまでハニと添い遂げられると思っていたけど・・・・・・・」
スンジョはニヤリと笑った。
ハニはきっとこう来るはずだ。
「ダメ!他の看護師になんてスンジョ君の世話は任せられない。スンジョ君は私じゃないと、心の底から笑ったり出来ないでしょ?」
スンジョが思った通りは、ニはベッドから飛び降りて荷物をまとめているスンジョの背中に飛びついた。
ハニ、結局お前はオレがこう出ればお前の怒りが治まる事を知るのはいつになるのかな?
「スンジョ君、家を出て行かないで・・・・・・・何もしなくていいから私の横で眠って・・・・・・」
「何もしなくてもいい?」
背中に抱きついたハニの腕を引いて向かい合い、ハニをベッドの端に腰掛けさせると膝を曲げ少し屈んで顔を覗きこんだ。
「ぁぁ・・・ベッドから落ちない様に、眠る時には抱いていて・・・・それに・・・・・キスはして欲しい・・・・それと・・・・・・・」
一つ一つ言う言葉に顔を赤くしているハニを、スンジョはからかいたくて仕方がない。
「それと?」
顔を上げていられる限界になったハニはスンジョの胸に抱きついた。
「本当は9時に布団に入ってからずっと2時間以上淋しくて眠れなかったの・・・・」
いつまで経っても高校生みたいなハニがスンジョは可愛くて仕方がない。
サッとスンジョはハニを抱き上げてベッドに横たえた。
「オレの貧相な夕食を用意した罰だ、覚悟しろよ。空腹過ぎて狂暴になっているから。」
天井灯を消してすぐにハニの悲鳴が深夜のペク家に響いた。
「おばあちゃん、オンマを助けなくていいのかな?遅い時間なのにあんなに大きな声を出して・・・・」
「大丈夫よ。大人には大人な仲直りがあるんだから。また明日の朝からはいつものラブラブの両親になっているから。」
空腹を満たされたスンハは、オンマの悲鳴のような声で結局寝付いたのは空が少し明るくなる頃だった。
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