小さなライバル達(スンハ) 95

「もう・・・・・もう・・・だ・・・だめ・・・・・」

「そうは行かない。オレは空腹過ぎて、狂暴になったんだからな。」

「空腹過ぎると狂暴になるの?」

スンジョはゴロンと仰向きになり深呼吸をして息を整えた。

「ああ・・・・ボクサーが試合直前に減量をして挑むのはただ体重を減らすためではなくて、動物の習性で獲物を捕まえて空腹を満たそうという心理が働くからだ。」

ハニはガバッと起き上がりスンジョを睨みつけた。

「私は獲物なの?」

「オレにとってハニが獲物じゃなくて、オレがハニの獲物だ。」

例えて話してもハニにはスンジョの話している意味が解らず、ふくれっ面をして寝ころんだ。

「別にオレが言った言葉の意味が解らなくてもいいけど・・・もうくすぐるのは止めにして眠るぞ。明日は早いから。」

「そうだね。随分と笑ったし・・・・・」

「お前の声が大きすぎたから、お袋とスンハにきっと誤解されているぞ。」

「お母さんとスンハ起きていたの?」

自分がいつまでも大きな声で笑っていた事を思うと、ハニは恥ずかしくなって布団の中に潜り込んで行った。

「あっ!オンマ達静かになった。」

「本当ね。私たちも眠りましょうね。あなた達のアッパとオンマも仲直りをした事だし。明日も学校があるのだからね。」

スンハが食べ終わった食器を片づけながら、二人は立ち上がった。

四人の子供の母となったハニは、新婚当時にはいつも寝坊ばかりだったのに、今は朝の寝起きも良くなっていた。

スンジョが起きる時間の1時間前に自分の目覚ましを掛けていた。

自分の背中に廻されているスンジョの腕をそっと動かし、静かにベッドから出て着替えていた。

スンジョが起きる前と思っているのはハニだけで、着替えているハニの後姿を見てクスッと笑って眠ったふりをスンジョはいつもしていた。

___パタン・・・・・ 

ドアが閉まり階段をハニのスリッパの音が階下(した)に降りて行くのが聞こえた。

既に起きているグミと挨拶をするハニの声。

「もう少し眠るか・・・・・・」

ハニとグミの明るい話声を子守歌代わりにスンジョはまた眠った。

「昨日の夜は楽しそうな声が聞こえていたわね。」

「お母さん、変な勘違いしないでくださいね。弱いって知っているくせに、スンジョ君が私の脇腹を・・・・・・・」

「変な勘違い?いいのよぉ~誤魔化さなくても。息子たち夫婦の仲が良いのは良い事ですもの。きっと亡くなったパパも喜んでいると思うわ。孫たちも増えて、幸せなペク家は本当にご近所でも自慢ですもの。」

明るいグミの声にハニの失敗をして叫ぶ声が早朝のペク家の一日の始まりだ。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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