小さなライバル達(スンハ) 101
間隔が段々と短くなって、本当にもう限界に来ていた。
看護師が何度も内診をしても、まだ開き切っていない。
良い状況ではないと看護師は思い、パク先生を急いで呼びに行って来た。
「オ看護師、もう辛いでしょう。お母さんもいらしてる事ですし、ペク先生を待っている事もないと思いますよ。手術に切り替えましょう。」
ハニはまだスンジョを待っていたかった。
年齢を考えると、もうこれが最後の子供にしたいから。
「まだ・・・・・まだ・・・頑張れます。」
この今にも産まれそうな子供が出来た時、スンジョが言った言葉がハニには忘れられなかった。
「医師という仕事をしているから、立ち会いは絶対に出来るとは思わないが、一度でいいから普通の夫として妻の出産を助けたい・・・・・・・まぁ・・・それは無理だと思うけどな。」
優秀なスンジョだけに、早い教授に昇格がほぼ確実になって来たと同時に出張や講演活動も忙しくなっていた。
ハニはスンジョの手伝いをしたいから看護師になったが、母親として子供のためにあまり仕事を入れないようにしていた。
スンジョが休みの時は出来る限り休みを合わせようとしたりしていたが、予想外の5人目の妊娠で産休と同時に仕事を辞める事にした。
「オンマ・・・・・・・」
「ス・・・・スンハ来てくれたの?」
辛そうにしている母の顔を心配そうに伺っていた。
「アッパ・・・・・・待たなくてもいいのに・・・・」
「ハニちゃん、もう手術に同意しましょ?スンジョだって判ってくれるから、このまま無理をしたらよくないと思わ・・・・・ね?」
我慢強いハニでもさすがにそれに従うしかなかった、意識が薄れそうになりながらハニは小さく頷いた。
グミは同意書にサインをし、パク先生が書類を手に取って看護師に支持を出した時、スンジョが病室のドアを開けた。
「スンジョ!スンジョが来たわよ、ハニちゃん。」
「遅くなってゴメン・・・・ハニ・・・ハニ・・・・・」
ハニの頭の中に遠くでスンジョの声が聞こえるのが判ったが、ハニはそのまま完全に意識を失った。
ヒンヤリと顔を柔らかな物が触れ、温かな物が触れた事にハニは感じて目を静かに開けた。
「スンジョく・・・・ん?」
心配そうに覗き込んでいるスンジョの顔をハニはニコッと笑った。
「お帰りなさい・・・・・・」
「何がお帰りなさいだ。心配させて・・・・・・いつになったらおれはハラハラしないで済むんだ?」
スンジョの怒ったような言い方でハニは一瞬不安になった。
「赤ちゃん・・・・・・・・だめだったの?」
「大丈夫だ。オレが来た時に丁度パク先生が手術の同意書を持って、手術の準備を指示しようとしていた。」
ハニはホッとたような顔でスンジョに笑顔を見せた。
「男の子だったよ、元気な。よく頑張ったな。」
スンジョのその言葉にハニの目から涙が一滴流れた。
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