小さなライバル達(スンハ) 102
傷口の痛さよりも無事に産れた我が子の事が気になった。
ベッドから起き上がり、お腹に力が入ると顔をしかめた。
「患者の気持ちが判るか?」
「スンジョ君・・・・・痛み止めが切れて・・・痛くて・・・・・」
白衣を着たままのスンジョは、腕時計を見て時間を確認した。
「連れて来てもらうか?それとも見に行くか?今なら面会も出来るはずだから。」
「見に行きたい。」
休憩時間にハニの様子を見に来たスンジョは、他の入院患者の手前、白衣を脱いでハンガーに掛けた。
「ゆっくり歩けよ。痛みがひどい様だったら、パク先生に痛み止めを処方してもらうから。」
「うん・・・・・」
痛みも我慢してしまうハニ。
「しかしお前は本当にオレを刺激的な毎日が送れるようにしてくれるよな。」
「でしょ?」
「でしょ?じゃないだろう。結局5人産んだ子供で普通に立ち会いが出来た子供は独りもいなかったな。」
スンハを産んだ時は、スンジョは教授に同行してハニはジュリの結婚式の披露宴に出席していた。
「次は絶対に立ち会ってくれるよね?」
「次・・・・・・・お前次って言うけど、オレは良いけど40代になるぞ。」
ニヤッとして笑うスンジョに、ハニは不思議そうに顔を眺めた。
「来年は?」
「来年って・・・・・切ったから来年は無理だし、年齢的にも傷口の直りは悪いから早くて5年は開けないと。」
「5年・・・・・・」
「子供が6人になるんだけどな。」
何も考えずに発言するハニは、年齢の事や子供の人数を聞いて頭の中で繰り返して言って、自分勝手に想像して顔を赤くしていた。
そんなハニをスンジョはただ黙って見て笑った。
新生児室のインターフォンを押して、ハニは初めて我が子と対面をする事になった。
産まれたばかりの我が子が、ベッドごと授乳室に連れて来られて、ベッドに付いている名前を見た。
「スンジョ君、名前を付けてくれたんだ。<ペク・スンギ>みんなうちの子供たちはスンジョ君の名前を取っているんだね。」
「嫌だったか?」
「ううん・・・・・頭がスンジョ君に似てくれるからスンジョ君の名前を取ってくれた方が嬉しい。」
名前で頭がいい悪いなどない事が判っているはずなのに、ハニは自分の頭の悪いのを気にして、どの子がお腹にいる時もお腹にそう呼びかけていた。
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