小さなライバル達(スンハ) 105
静かなペク家の夕食の時間。
そんな中でもグミは、変わらず賑やかに話している。
オレとウンジョとスンリは、普段から食事中はあまり話をしないし、ミアは大人しくて物静か。
スンミとスンスクそれにスンギとウンジョとミアの息子ウジョンは、食べる事に集中している。
一人で騒いでいるようなハニは、忙しく(せわしく)幼い子供に世話を焼いている。
そんな夕食の風景を見ているとどうしても目に入るポッカリと空いたスンハの席。
ハニと同居してから家族は増えたが7年前に親父が亡くなってから家族が初めて減った。
5年前に、スンギが産まれて人数的には、元に戻った。
「ねぇ、スンジョ君。スンハのあの年齢の頃に私達結婚したのよね。」
「あぁ。」
「スンハが結婚したら淋しくなるから、今から慣れないとね。」
「あぁ・・・・・・」
スンジョの気のない返事にウンジョは嫌な予感がした。
日頃から素っ気ない態度をハニに取っているが、それとは違うスンジョの不機嫌そうな様子。
「ねぇ、スンジョ君。スンハがお嫁に行ったらどうする?」
「まだ先の話しだ。」
しつこくハニが聞いて来るからではなく、スンハがいないからでもないが急にイライラとした気分になって来た。
眉間に皺を寄せた兄の微妙に変化した様子に、ウンジョはサッサと食事をして部屋に引き上げた方がいいような気がして来た。
が、そんな時グミの一言で意外と早く兄のイライラが頂点に達した。
「私もだけど、スンジョとハニちゃんにウンジョとミアちゃんも早く結婚したから、スンハも案外結婚は早いかもね。急に一人暮らしをしたいって言ったから、スンジョも若いおじい・・・・・・・」
_____バンッ!!!
スンジョが机を叩くようにして手を付いて何も言わないで食事を残したまま寝室に入って行った。
沈黙が暫く続いた後、グミが申し訳なさそうにハニに謝った。
「ごめんなさいね、ハニちゃん。40過ぎたのに未だに子供みたいで素直になれない捻くれスンジョを怒らせてしまって・・・・・・・・」
「大丈夫ですよ。きっと仕事で疲れているんですよ。」
ハニの無邪気な言葉と笑顔を見て、ウンジョはハァーッとため息を吐いた。
「義姉さん、早く兄貴の機嫌を直してよ。そうしないと兄貴の怒りから発する冷気で食事も喉を通らないし、子供たちも怯えるから。」
「判ってるわ。」
ハニも本当は怖かった。
スンジョが怒る時は、いつもだんまりで家族と打ち解けて話せるようになるのには時間が掛かる。
なにしろ結婚して暫くした時に、勝手に嫉妬してそれに気が付かなかった事がある。
あの時は3カ月くらい口を利いてくれなくて、離婚しようかと思っていた。
それ以外にも時々焼きもちを妬いているが、今回の不機嫌な様子はその時以来だ。
_____コンコン
「スンジョ君、起きてる?」
「あぁ・・・・・・・」
一応返事は有った事に少しはイライラが治まった事が判った。
「お風呂に入ったら?明日は早い日でしょ?」
「・・・・・・・・・・・」
チラッと見るが、ベッドに寝転び天井を睨んでいた。
「着替えを置いて来るね。」
「先に皆に入ってもらって・・・・・・最後に一緒に入らないか?」
「えっ?」
一緒に入る事は今まで一度もなかったわけではないが、数えるほどしか一緒に入った事がなかった。
そういう時のスンジョは自分の疑問をハニに聞いて欲しい時だった。
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