小さなライバル達(スンハ) 107
「スンジョ君・・・・・出てくれる?」
スンジョはハニを自分から離して湯船から急いで上がると、バスタオルで身体を覆ってバスルームのドアを開けた。
「アッパ、オンマがいないよ。」
「スンミどうした?オンマはアッパと一緒にお風呂に入っているよ。」
チラッとスンジョの横から顔を覗かせて湯船から上がって身体を拭いているハニを見て、スンミは安心したように言った。
「あのね、スンギがオネショしたの。それでね、オンマァ~オンマと言って泣いているの。」
「ちょっと待っていろよ、今服を着るから。」
スンジョは急いで服を着て、スンミ・スンスク・スンギの三人の子供部屋に行った。
ベッドの上で座って泣いているスンギの布団は見事に濡れていた。
「おいでスンギ。」
スンジョがスンギに手を掛けるとまた火が付いたように泣き出した。
「アッパ、いや!オンマがいい。」
そう言われて手を引っ込める分けにもいかず、とにかくスンギをその場所から降ろさない事には着替えも布団も交換する事が出来ない。
泣いて抵抗するスンギをベッドから降ろした頃にハニが子供部屋に来た。
「あらら・・・・しちゃったの?上から下までずぶ濡れね。大丈夫よ、すぐにパジャマを着替えようね。」
「風呂に入れてからにしないと、臭うし身体が痒くなるだろう。」
「そうだね。スンギ、オンマとアッパと今お風呂に入っていたけど、一緒に入る?」
入りたいと言うスンギを見て、当然目が覚めてしまったスンミも一緒に入りたくなって来る。
ハニは二人の子供の着替えを持ち、周りの騒動にも気が付かずによく眠っているスンスクの顔を見た。
その間にスンジョはスンギの布団からシーツまでを替えていた。
親子で狭いバスルームで身体を洗い合って、綺麗になって身体が温まったスンギは換えてもらった布団に入れるとすぐに眠り始めた。
「スンミも寝なさい。明日は学校もあるのだから。」
今でもスンジョはスンミを一番可愛がっている。
成長と共に顔が変わっていくのが子供だが、益々ハニとそっくりな顔になって来るスンミが可愛くて仕方がなかった。
「どうした?アッパの顔に何か付いているか?」
「うん・・・・どうして時々アッパとオンマが夜遅い時間に一緒にお風呂に入るの?」
「えっ?そ・・・・・そ・・・・・・」
やましい事はないとは言えないが、素直に何もないとも言えない。
夜遅い時間に二人が風呂に入るのが、スキンシップの場と時間でもあるから。
「アッパはオンマを愛しているから、オンマの身体を洗ってあげるんだ。スンミだってオンマをスンミが愛しているから身体を洗っているだろ?」
「まぁね!」
納得したようで納得していないスンミの頭をスンジョが撫ぜて、天井灯を小さな灯りにしてスンジョとハニは子供部屋を出ようとした。
「オンマ・・・・オンマの首に痣があるけど・・・・・アッパとお風呂に入るといつもあるね。」
まさか・・・・
二人は咄嗟にハニの首を確認した。
スンミが見つけたのは首の付け根の本当に髪の毛で隠れる場所にある、スンジョが付けた赤い印だった。
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