小さなライバル達(スンハ) 109
馬鹿にした事はないが、いつもニコニコとしていて眉間にしわを寄せているハニの顔をスンハは見た事がなかった。
「オンマ・・・・・」
チラッとスンハの横にいる青年の顔を見たまま何も話さない。
「すみません・・・・・・お母さん・・・・・・」
「スンハ・・・・アッパとの約束は忘れたの?」
「忘れていないよ。だけどアッパが言ったのは<他人を入れて騒ぐな>だったもの・・・・・静かにした・・・・うん、したよ・・・・・」
静かにした・・・・・・その言葉に、スンハはしまったという顔をしたが、母親がハニで良かった。
気が付かないハニに、素直な性格なのだろうか青年は頭を下げた。
「ペク・スンハさんとお付き合いさせていただいています、パラン大学医学部4年のファン・インスンです。」
「医学部・・・・・スンハの先輩なの?」
「うん・・・・付き合い始めて昨日で一年目だったの。」
一年ずっと両親に内緒にして二人は付き合っていた事をハニは知った。
まだ子供だと思っていたスンハが、いつの間にか恋人が出来て並んで座っている。
身体をぴったりとくっ付けて小さなソファーに二人で腰掛け、母親の目の前でも時々見つめ合っては笑っている。
10分前に二人は・・・・・ハニはそんな事を考えていたら急に顔を赤くしていた。
「昨日は・・・・・ここで・・・・・・」
「うん・・・一周年だから二人でクリスマスパーティをしていたの・・・・・」
幸せそうにインスンと見つめ合うスンハを見ると、本当はスンハを叱ろうと思っていたが何も言えなくなってしまった。
「毎年家族でクリスマスはしていたでしょ?おばあちゃんがケーキを焼いて待っていたのよ。連絡くらいくれなきゃ。」
「ごめんなさい・・・・だって、せっかく初めて二人で過ごすクリスマスだったし、一年記念をしたかったんだもん。」
手を繋ぎ見ているハニの方が恥ずかしくなるくらいベタベタしている娘に、親らしくしようとハニは背筋を伸ばした。
「その・・・・・・昨日は・・・・夜・・・・・・ううん・・・どうして昨日、二人でもいいから来なかったのかをまず聞かないと・・・・」
「だって・・・アッパがいたでしょ?アッパがいる時に二人で行ったら・・・絶対に怒られるじゃない。『彼氏が出来たから独り暮らしをしたのか!』って・・・・・」
確かにスンジョならそう言うだろう。
スンハが一人暮らしをし始めてから、昔を知っている人なら驚くくらいスンジョは心配性になっている。
自分たちの子供全てが、最愛の妻ハニの分身のように大切にしているからだ。
「オンマだって、独身時代はアッパとラブラブなクリスマスデートをしたでしょ?」
思い出す事もない独身時代の二人の思い出。
恋人時代もなく、すぐに結婚した事はスンハは知らない。
いつも仲の良い両親は大恋愛の末に結婚したと、スンハだけではなく事も経ち全員はそう思い込んでいる。
「クリスマスデートは・・・・・結婚してからよ。それも夜の公園で・・・・キ・・・・ううんそんな事は良いけど、だってオンマはアッパに付き合ってとも言ってもらった事もないし・・・・おじいちゃんたちの前で結婚したいと宣言をしてから二週間で結婚しちゃったのよ。恋人たちの過ごし方なんて知らないわ。とにかく一度家に帰って、ちゃんとアッパにファン・インスン君を紹介して。」
どうしてもスンジョに会わせたくないスンハと、正式にスンジョにスンハの恋人として会わせたいハニは中々話がまとめる事が出来なかった。
お互いに急にインスンの存在が公になって気持ちが落ち着かなく結局三人で話し合っても結論も出なく、スンジョには時期を見てからスンジョにインスンを紹介する事になった。
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