小さなライバル達(スンハ) 111
「スンジョ君、もう病院に行くの?随分と早いよね。」
「あぁ・・・・向こうのマンションに寄って、ほしい本を取ってから病院に行く。」
マンションに寄る?
「か・・・・帰りに寄ったら?」
スンハが彼氏と過ごしていたら、スンジョ君にバレてしまう。
「何をドモッているんだ?朝行ったらいけないのか?自分のマンションなのに。」
「そうじゃないけど・・・・・・あっ!ちょっと二階に子供たちを起こしに行かないといけなかった。お見送りは出来ないけど・・気を付けて行ってね。」
ハニはスンジョを誤魔化すための嘘をついて、二階に上がって行った。
携帯・携帯・・・・・
「もしもし?スンハ?」
<なに?>
こんな冷たく突き放すような言い方はスンジョ君とそっくりで、娘なのにたまにドキッとしてしまう。
「インスン君・・・・・泊まって行かなかった?」
<ん?泊まったよ、代わろうか?>
毎日来ているの?来て何をしているのよ・・・・・なんて聞けないよね。
泊まったという事はそう言う事をしているのだから・・・・
いけないスンハに言わないと・・・・・
「スンジョ君・・・アッパがそっちに何かを取りに寄るみたい。今ガレージから車が出て行ったから、見つからないうちにインスン君を部屋から出さないと・・・・それと・・・・泊まって・・・」
<分かった!痕跡を無くすんでしょ?髪の毛とか使った物を・・・・・>
スンハはスンジョ君に似ているから、手早く片付けが出来る事は判っている。
それでも、スンジョ君にスンハが部屋に彼氏を泊めている事がばれたりしたら・・・私まで怒られちゃう・・・・・
「急いでね。オンマもスンハがばれる前に、それとなくスンハにお付き合いしている人がいる事を話すから。」
<お願いね。私・・・インスンがいないとダメなんだ。アッパの機嫌が良さそうな時にちゃんと紹介をするから>
いつかは話さないといけない事。
そうでなくても、スンジョ君は何かを勘ずいているかもしれない。
スンハにもきちんと親として言わないといけない。
毎日部屋に泊めないでって・・・・・・・
まだ学生なんだから、間違いが起きたりしたら・・・・・・
物事を悪い方に考えるハニの妄想が膨らんで、頭の中に浮かんだスンハの姿に顔を赤らめた。
それは、産科の医師になりたいと言っていたスンハなら簡単な事かもしれない。
「インスン・・・・ごめんね。アッパがもうすぐ来るから・・・・・」
「挨拶をした方がいいよね。」
「ダメダメ・・・・朝から部屋に男性を一晩泊めていたなんて判ったら、インスンと会えなくなっちゃうから。」
スンハは冬の寒いこの時期に、インスンが泊まった事を隠すために窓を開けて掃除機をかけ始めた。
「あぁ・・インスン。玄関を出る時、洗濯機を廻しておいてね。」
シーツからタオルや細々としたものを洗濯機に入れたインスンが、洗濯機のスイッチを入れて部屋を出て行った。
インスンがマンションの入り口から出た時に、スンジョの車が居住者用の駐車スペースに車を停めた。
あの学生も、このマンションに住んでいるのか。
しっかりとスンジョはインスンの姿を見てしまった。
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