小さなライバル達(スンハ) 113
「ハニちゃん、携帯が鳴っているわよ。」
「は~い。」
子供たちが保育園や学校に行っている時には、忙しそうに家の中の掃除に洗濯で駆け廻っている。
籠にいっぱいの洗濯物を抱えて、リビングに置いてある携帯を取った。
「もしもし?・・・・スンハ?」
<オンマ、電話をくれてありがとう。アッパに見つからなかった。>
「良かった!でもいつかはバレちゃうから、ちゃんと紹介をしないと後が怖いわよ。」
<分かっている・・・・でも、それとなく聞いてからアッパに紹介をするから。そう思って今朝ね、ジュナの事を話したの。>
「そうしたら?」
<まだないって・・・結婚は。私が結婚するのは医学部を卒業してからだって言う事みたい。>
「そう・・・・自分は21歳で結婚したのにね。」
<そう言ったのよ・・・・あっ!授業に遅れるから、また掛けるね。>
ハニとスンハの会話に、グミのアンテナがむくむくと伸び始めた。
「ハニちゃん・・・・・・いい話かしら?」
「お・・・お母さん・・・・あの・・・・その・・・・・・」
「私とハニちゃんの仲じゃない。秘密は無用よ!」
グミにそう言われると、内緒にしておく事が出来ないハニは、スンハとスンハの彼氏のインスンの話をしてしまった。
6人の孫の誕生に暫く鳴りは潜めていたが、これからのグミのパワーが炸裂する事は間違いがなかった。
パラン大のキャンパス内ではスンハとインスンが付き合っているのではないかという噂は流れていた。
それがスンジョまで伝わっていない事に、当事者たちは安心している反面、いつか分かってしまうのではないかと心配になっていた。
というより、自分の必要な情報は記憶に残さない父の性格が、果たしてそれが今回もそうなるのかは分からない。
スンジョは外では冷たく感情を見せないが、スンハは最愛の妻との最初の子供。
当然、そんな噂はスンジョにとっては必要な情報の一つである。
噂はあっても、その噂を直接近寄りがたいスンジョに言う人物は誰一人もいない。
「インスン・・・・・今日はごめんね・・・・・」
「いいよ。でも、ご両親にちゃんと挨拶をした方がいいから、教授の予定を聞いてくれないか?」
「ダメ・・・・ダメ・・・・ダメよ。アッパとの約束で、あの部屋には人を入れて騒いだらダメって・・約束をしたの。騒いではいないけど・・・・・約束をしてすぐにインスンを部屋に入れた事をアッパに知られるのが嫌だから・・・・・・・」
「じゃぁ・・・お母さんにキチンと、将来を考えて付き合っていますって言うのだけでも・・・・・・」
「インスン・・・・それって・・・・・・・」
「スンハの思った通りにとっていいよ。まだ学生だけど、君がずっと僕の傍にいるべきの女性(ひと)だと決めたんだ。」
スンハの初恋は父親のスンジョ。
インスンと出逢うまでは、周りの男の子たちには全く興味が無かった。
スンジョとは性格もタイプも違うが、頭は良くてスポーツも万能で整った顔立ち。
勉強一筋だったインスンが初めて心を惹かれた相手がスンハ。
テニス部に一年後輩の新入部員として来た時から、天真爛漫で明るいスンハにインスンは一目ぼれをした。
スンハにしてもインスンは女の子目当てでテニス部員として来ている男子学生とは違って、ひたすら熱心に練習をしている誠実なインスンに惹かれた。
「今ね、オンマにメールをしたらおばあちゃんも会いたいって・・・・アッパに会う前に四人であって話をまとめてからアッパに会った方がいいかもしれないって。」
「教授に怒られないかな?根回しをしたりしたら・・・・・・」
「逆よ。事前にこっちが計画を立ててから会わないと、相手にもしてくれないの。」
先走るグミとそれに従うハニが組んだりしてスンジョが怒る事を判らないスンハは、スンジョがいない時にインスンをペク家に招待する事にした。
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