小さなライバル達(スンハ) 114
久しぶりに帰る家に、スンハは妙に緊張していた。
玄関のドアを開けて、シューズボックスを開けてスンジョの靴の確認をした。
ペク家は大家族の為、それぞれの段に普段履きの靴がキチンと納められている。
「大丈夫。アッパは家にいないわね・・・・・・・」
ホッとした顔をして室内にスンハは入って行った。
「あら!スンハ、お帰り。」
「お・・おばあちゃん・・・・・ただいま。アッパはいないよね?」
「いないわよ。ハニちゃん!ハニちゃん、スンハが帰って来たわよ。」
ハニが二階の夫婦の部屋から顔を出した。
「お帰り・・・シーツを替えたら降りて行くわ。」
自分の子供のシーツから夫婦のシーツまで替えるのは、人数が多いから洗濯をして乾かして片付けるまでで一日掛かってしまう。
ウンジョ達家族の物は、ウンジョの妻であるミアが替える。
グミに出されたお菓子を食べながらスンハはハニが降りて来るのを待っていた。
「スンハ、クリスマスに帰って来なかったのね。」
「うん・・・ちょっとね・・・・・・」
恥かしそうにしているスンハの近くに座って、グミは小声で聞き出そうとして話しかけた。
「彼氏と過ごしたの?ラブラブな夜を・・・・」
「お・・・・おばあちゃん・・・・ど・・ど・・どうして・・・・」
クスッとグミは悪戯っ子の様に笑った。
「オンマから聞いたのよ、スンハに彼氏がいるって・・・・・それとこの間・・・・・フフフ・・・・・見ちゃったって・・・近距離で、スンハと彼氏のキスを・・・・・」
いつまで経っても噂好きな女子高生みたいに、人の恋愛話を聞きたがるグミの対応にスンハは思わず食べていた物をのどに詰まらせた。
「大丈夫か?」
「ア・・・・・アッパ・・・い・・・いつ・・・・・」
食べた物をのどに詰まれせて咳き込んでいる時に、気が付かないうちにスンジョが玄関から入って来ていた。
「帰って来ていけなかったか?」
「ベ・・・別に・・・・・・・」
スンジョが帰って来るとハニのスンジョレーダーが働くのか、階段を急いでハニが掛け降りて来た。
「お帰り、スンジョ君。」
スンジョの顔を嬉しそうに見上げるハニにスンジョは挨拶のキスをした。
「ただいま。」
ハニがスンジョの鞄を預かると、何か言いたそうにしているスンハの向かい側のソファーに腰掛けた。
「珍しいな、朝オレと一緒に学校に行ったのに家でまた逢うなんて。」
「そうだね・・・・・・・」
スンハはスンジョにインスンの事をどう言おうか迷っていた。
今のスンジョは機嫌が良さそうだ。
言うなら今しかないが、心臓が破裂しそうなくらいドキドキしていた。
「あのさ・・・・アッパ・・・」
「ん?何だ?」
「今度の日曜日・・・・空いてる?」
「明後日から出張だから用事があるなら無理だな。来月なら時間にゆとりがある。」
グミとハニは二人のやり取りをキッチンからチラチラと見ながら観察をしていた。
「そっかぁ・・・・・仕方がないよね・・・・アッパは優秀な外科医だから・・・・・・仕方がないよね・・・・」
グミⅡ世と言われたスンハの戸惑っている様子が、いつもと違うような気がしてスンジョは立ち上がりながら一言だけ言った。
「彼氏が出来たのか?」
そのスンジョの顔は、無表情でとても歓迎しているようには見えなかった。
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