小さなライバル達(スンハ) 119
緊張した面持ちで、スンハの後ろにインスンは立っていた。
「大丈夫?インターフォン押すよ。」
スンハがインスンを振り返って聞いた。
インスンは大きく深呼吸をしてゆっくりと頷いた。
「何をしてんだよ。」
二人の後ろから誰かが声を掛けると、インスンは飛び上がらんばかりに驚いた。
「邪魔!」
「何が邪魔よ。それがお姉ちゃんに言う言葉なの?」
パラン高校の制服を着たスンリがニコリともしないで、ジロッとインスンとスンハの顔を見てボソッと言った。
「アッパはいないよ。」
「知っているけど・・・・あんた今日は日曜日なのに学校に行ったの?」
「模試だから。」
ポケットから鍵を出して、ドアを開けてスンリは二人を無視して、またドアを閉めて行ってしまった。
「弟さん?」
「そう、すぐ下の弟でスンリ。無愛想でしょ?オンマが言うには高校生の時のアッパにソックリだって。」
「教授にソックリ・・・・・・・弟って受験生だった?」
「高1。勉強が簡単すぎるって言うから、アッパに高3の模試でも受けてみたらって言われているの。」
性格はハニに似て頭と顔はスンジョ。
5人の子供を産む時に、ハニはいつもそうお腹の子供に言い聞かせていた。
スンハ・スンリは頭も顔もスンジョに似ているが、スンリは性格も成長するにつれてスンジョに似て来た。
「その下の妹の顔は私と似ているんだけど・・・お勉強はちょっとね・・・・・」
「妹さんは確か・・・・」
「モデルの仕事をたまにしてるわ。スンミと言って小学校5年生バレエコンクールのジュニア部門では三年連続優勝よ。その下の弟スンスクは小学校4年生でちょっとおデブさん。亡くなったおじいちゃんに似ているの。頭はすごく良いんだけど、のんびりしていて全く競争心のない子よ。一番下の弟スンギは今幼稚園の年中さんで顔も頭も性格もオンマにソックリ。」
「へェー、沢山兄妹がいるんだね。」
「兄妹じゃないけど、アッパの弟のウンジョおじさんの子供でウジョンがいるわ。ウジョンはスンミと同じ小学校5年で頭は良いけど・・・・口が結構悪いかも・・・みんな多分インスンの事をジロジロと観察すると思うわ。」
スンハが言った通り、バルコニーからスンリ以外の5人が二人を観察していた。
「アッパは今日は帰って来ないって言っていたから、ゆっくりして行ってね。」
スンハは一通り兄弟の話をしてから、インターフォンを押した。
「オンマ、スンハよ。」
<は~い、解除したから入って来て。>
ガチャンとロックが解除されて、スンハは門扉を開けて敷地内に入った。
「お母さん、スンハが彼を連れて来ましたよ。」
「あ~夢みたいね。また家族が増える予感がするわ。」
ハニとグミは二人並んでインスンが来るのを待っていた。
_____ガチャッ・・・
「いらっしゃい!」
大袈裟なほどの笑顔でインスンを迎え入れるグミに、初めて家に訪問したインスンは少し驚いた顔をした。
「どうぞどうぞ、入ってくださいな。」
「おばあちゃんよ。」
「初めまして、医学部4年のファン・インスンです。」
「ソファーに掛けて、今家にいる家族を紹介するから。みんなぁ~降りてらっしゃい。」
グミが呼ぶと、さっき門で会ったスンリとバルコニーから見ていた兄弟たちが降りて来た。
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