小さなライバル達(スンハ) 121
グミの笑い声に、スンハの兄妹たちの騒ぐ声。
夕食は賑やかだった。
「すみません、おばあさんとウンジョさん、図々しく夕食まで御馳走になって。」
「気にしなくてもいいのよ。わざわざ来ていただいたのに大したおもてなしも出来なくて。」
「兄には内緒にしておくから心配しなくてもいいよ。兄は結構嫉妬深いんですよ。スンハは待ち望んだ子供だったのもあるし、五人子供がいる中で一番信頼している子供だからまともに交際している事を言っても許さないですからね。」
「はぁ・・・・・・教授の講義に出るのが怖くなりました。」
食器を片づけながらハニとスンハはダイニングで、すっかりグミやウンジョと打ち解けて話しているインスンを見て、安心したように顔を見合わせて笑った。
「スンハは凄いね。」
「なにが?」
「アッパに言う前に、おばあちゃんとウンジョおじさんに会わせて・・・・・・すっかり気に入られたみたいね。」
舌を出して笑うスンハは、第一段階を無事にクリアして安心したような顔をしていた。
「でも、アッパにはいつ紹介するの?」
「したくてもアッパったら話があるって言うと逃げて行くから言えないじゃない。」
「知らないよ、自分だけスンハがお付き合いしている人の事を知らないと知ると怖いんだから。」
パッとハニの方を向いて顔の前で手を合わせた。
「アッパが怒ったらオンマが機嫌を取ってよ。オンマが言う事ならきっと聞いてくれるから。」
「ところで・・・・・第一段階がクリアって、いくつまであるの?」
「さぁ・・・・教えない。アッパに見つかると困るから。」
スンハはそう言ってみんながいるダイニングテーブルに戻った。
「何だか嫌な予感がするのよね・・・・・・・スンジョ君に教えた方がいいかもしれないけど、こんな事で電話を掛けると、怒られそうだから。」
ハニはそう言いながら洗い終わった食器を食器棚に片づけた。
小さな頃から頭がいい所為か、子供らしくなく思ってもいない行動を時々してきたスンハが、最近は今までとどこか違っている。
好きな人が出来たからなのか、それとも性格が変わったのかハニにはよく判らなかった。
翌日の朝、スンハはインスンと一緒に学校に出掛けた。
将来を約束しているようだが、さすがまだ幼い弟や妹と従兄妹、そして思春期のスンリがいるから、ハニはグミが『二人を一緒の部屋に』と言ったが、それは出来ないと反対した。
子供たちが出掛け、グミはスンハの為に延期した撮影に朝早い時間に家を出て行った。
今、家にいるのは義弟のウンジョ夫妻とハニだけ。
昨日スンハの彼のインスンが泊まった痕跡を隠そうと、ハニは家族全員のシーツを洗っていた。
「お姉さん、お義兄さんが帰って来ましたよ。」
シーツを干していると、ミアがスンジョが帰って来た事を知らせてくれた。
「ありがとう。」
ウンジョはハニが家の中に入るのと入れ違いに、まるでスンジョから逃げるように迎えに来た会社の車に乗り出勤して行った。
「お帰り、スンジョ君。ご飯は食べた?」
「いや・・・・・朝早く向こうを出たから、昼頃まで休むよ。」
「あっ!待ってて、シーツを替えたからまだ部屋が綺麗になってないよ。」
「ゲストルームで休むよ。」
ゲストルームはインスンが使っていた。
勘の良いスンジョが使えば、誰かが泊まった事に気が付かれてしまう。
「だ・・・だめ・・・」
ハニは隠し事が出来ない性格。
どもればハニが何かを隠している事に気が付いてしまう。
「シーツを家族の分を換えたついでにゲストルームのも換えたから・・・・・・・」
「別に人が泊まったわけでもないから、換えなくてもいいじゃないか。それなら書斎のソファーで休むから。11時に起こしてくれ。」
スンジョはそう言って、書斎に入って行った。
キッチンで食器を片づけていたミアとハニは同時に大きく息を吐いた。
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