小さなライバル達(スンハ) 125
ウッドデッキでぼんやりと、家の中で遊んでいるスンミとスンスクにスンギそしてウジョンを見ているスンハは元気がない。
「ハァーッ」
ため息を吐いては空を見上げ、また家の中を見ている。
「ハニ、最近スンハはよく家に帰って来ているけど、何かあったのか?」
「さぁ・・・最近どうしたんだろうね。」
「失恋でもしたのか?」
新聞を読んでいると思っていたスンジョが、元気のないスンハを気にしていた。
「何も言わないから、私も心配してスンハに聞いたのよ。何でもないって言うのよ。」
インスンと付き合っている事は、父親のスンジョには結局言えないまま留学してしまった。
ただ、時々スンジョに向かってスンハが睨んでこう呟いていた。
「アッパなんて・・人の気持ち・・とくに女の気持ちは判んないのよ。」
そう言ってまた考え込んでいた。
ハニもスンハがインスンの事を言わなくなって数ヶ月。
喧嘩でもしたのか、それとも本当にインスンと終わったのかとそう思っていた。
ハニは親として放っておく事もできず、ウッドデッキに座っているスンハの所にお茶を持って言って聞く事にした。
「スンハ、冷たいお茶を飲む?」
「うん・・・・・いらない・・・・ちょっと体調が良くなくて・・・・・・」
「アッパに見てもらう?」
スンハはその言葉に驚いたように、椅子から飛び上がってまたすぐに座った。
「それは大丈夫、原因は判っているから。」
「インスン君と最近連絡を取っていないの?」
ハニはスンジョがこちらを向いているのを知っているから、スンジョには背中を向けてスンハに聞いた。
「先月・・・・一時帰国したけど、直ぐにまた留学先に戻った。」
「そう・・・・・・で喧嘩をしたの?」
「してない・・・・帰るね。明日からテストだから。」
顔色も悪く、体調が悪そうなスンハをハニは心配そうに見ていた。
「スンジョ君、スンハ体調が良くないって言ってたけど、どうしたんだろうね。帰るってそのまま家を出て行ったんだけど。」
「試験やら実習やらで、疲れたんじゃないか?スンハはお前に似て、よく努力していると思う。」
スンジョの座っている横にハニは座り、スンジョの肩に頭を乗せた。
「そう言えば、来月のスンジョ君の誕生日ね、あのレストランを予約したよ。」
「そうか・・・・よく覚えていてくれたよな店長も。」
ハニがスンジョの誕生日のお祝いに何がしたいのかを聞いても無駄だとは思ったがそれでも聞いて、意外と嫌がらずに希望を言ったのが二人の初めてキスをしたあのレストランでの食事だった。
何故スンジョガそこを選んだのかはハニは知らなかったし、スンジョ自身どうしてそこを選んだのかも解らなかった。
何か少しずつ変わり始めているペク家の予兆のような気が二人はしていた。
スンハは部屋に戻ると鞄から携帯を取り出して、少し何かを考えてから誰かに電話を掛けた。
<もしもし?どうした?>
「インスン・・・・会いたい・・・・話がしたいの・・・」
<この間会ったばかりじゃないか。あと3ケ月で帰れるから。>
「どうしよう・・・・・困った事が有るの・・・・直ぐに会って欲しい。」
<何があったんだよ>
切羽詰まったスンハの声に、インスンは心配に思っても今直ぐには帰国できない。
だが、スンハの話を聞いて週末に一度帰る事を約束して電話を切った。
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