小さなライバル達(スンハ) 127
「に・・妊娠?スンジョ君、スンハは片想いだって・・・・・」
「ハニは、スンミ達を子供部屋に連れて行ってくれないか?」
幼いスンミ達をハニは子供部屋に連れて行った。
「アッパ・・・・・・違う・・・・・・・」
「違う?学校で噂になっているのを知っているのか?」
噂・・・・その言葉にスンハはホッとした。
「知っている・・・・・指導教師に、今日アッパと今後の事を話して来るようにって言われたの。」
「そうか・・・・書斎で話そうか?」
ホッとしたものの、書斎で話そうと言ったスンジョが怖かった。
普段からウンジョおじさんとは違い、無口であまり家族と正面を向いて話す事をしなくても、相手の考えている事をすぐに判ってしまうのが怖かった。
父の書斎には何度も入った事が有るのに、外気温と同じくらいに寒く感じた。
「暖房もすぐに効くから、そこに座って。」
「はい・・・・ひ・・・・久しぶり、ここに来るの・・・」
「スンハの好きだった本あるぞ。ほら・・・・・・・」
スンハの好きだった本を差し出されて、受け取ったスンハはドキッとした。
それは『パク先生みたいな産科の医師になりたい』と、言っていたスンハがよく見ていた胎児の変化の画像が写った本だった。
「本当に医師になる気持ちはあるのか?」
「はい・・・・・・」
震える手をスンジョに気が付かれない様にグッと握って、父と同じように心の中を見られない様に気持ちを切り替えた。
「最近、少し気持ちが緩んでいました。もう大丈夫です、実習の最中に吐いたりしないから。」
もう大丈夫、インスンも一時帰国してくれるから。
「アッパもオンマも、スンハを信じているから。一人暮らしをしているからと、親の期待を裏切ったりしないように。」
スンジョと話をして、もういつまでもインスンとの付き合いやそれを認めてもらうためにハニにも隠していてはいけない事にスンハは気が付いていた。
噂は噂ではないから。
オンマはそれはダメだと言っていたのに、おばあちゃんが提案した事を本当に実現してしまったから。
覚悟を決めてインスンと実行してしまった。
まさか、本当に思ったよりも早くこうなると思わなかった。
インスンと一緒にどこの病院に行こうか、スンハは自宅の部屋でドキドキしながら、パソコンで検索していた。
いつ家族の誰かが部屋に入って来るのか判らないから、廊下を歩く足音を気にしていた。
出来るだけパランから遠くて、アッパを知らない人の病院。
ここなら・・・・・・
院長先生もアッパより年齢が上だし、出身大学・・・・・海外なのね。
ここにしよう。
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