小さなライバル達(スンハ) 128
スンハは緊張していた。
「どうしてこんなに遠い所の病院にしたんだ?おまけに随分と備品が古そうな。」
スンハ自身も来てみたらあまりにも古くて、ネットで捜した事に後悔していた。
「だって、検索した条件が<年齢がアッパよりも上で、出身大学がパランではない、場所はパランより遠い所>そうしないとアッパの事を知っている人がいたら困るでしょ。おばあちゃんの提案通りにしようと思っていたから。」
「ファン・スンハさん、どうぞ・・・」
「ファンだって?何でおれの苗字なんだよ。」
「ペクって・・そんなにある苗字じゃないから、ばれちゃうでしょ!」
「ファン・スンハさん?」
「はい・・・・・・インスンここで待っていて。」
さすがに結婚していないから、診察室までインスンに付いて来てもらうのは、お互い医学部だからどんな診察をするのか判っているから恥ずかしかった。
「ご主人は一緒にどうですか?」
「あっ・・・・・・結果をここで待って聞きたいので。」
スンハは診察台に上がりながら、一昨日スンジョとハニが話をしている事を思い出していた。
相変わらずアイドル大好きハニは、芸能雑誌をスンジョの横で見ていた。
「うっそ・・・・・この子、ファンだったのに・・・・・ショック・・・・・・」
「何がショックなんだ?」
「一つ年下の女の子と、デキ婚だって・・・・・スンハと同じ歳なのよ・・・・・」
「親の目が行き届かない生活をしているからだ。」
「スンハがもしそうだったら・・・・どうするの?」
偶然に両親の部屋の前を通った時に聞こえて来た会話。
両親の会話を盗み聞きするのはいけないと判っていたが、自分の今の体調の事を何とか誤魔化したばかり。
インスンとの交際もまだ父であるスンジョには言っていない。
「部屋に他人を入れない・恋愛はしても結婚は一人前の医師になってから。スンハを信じている。」
インスンとは片想いと言ってあるだけに、まさか娘が結婚していないのに母親になるとは想像もしていないだろう。
「スンハがそうだったら?マァ・・・・医師という立場で、処置しろとは言えないし・・・相手に責任を取ってもらうしかないだろう。」
その時のスンジョの顔をドアの隙間から見たスンハは忘れられなかった。
例えで言った事でも、怒っているように見えたから。
「ファン・・・さ・・ん・・ファン・スンハさん・・・・大丈夫ですか?内診は終わったので衣類を来てこちらにいらしてください。」
「はい・・・・・・・」
胸の鼓動がドンドン早くなっている。
昨日帰国したインスンと検査薬で確認をした時には間違いなく反応が出ていた。
インスンと一緒にずっといたいからと、グミの提案に乗ってまさかこんなに早く妊娠するとは思わなかった。
「ファン・スンハです・・・・・・」
「どうぞ入ってください。」
診察室にいる医師は、父よりももっと年齢の上の老医師だった。
ククスのおじいちゃんと同じくらいの年齢の医師に診察をしてもらい、スンハは急に恥ずかしくなった。
「若いね・・・・大学生?」
「はい・・・・・・」
「先の事も考えて彼氏と付き合わんといかんぞ。結婚していないだろ?」
どうして判るんだろう・・・
「どうして判るんだろうって思っておるだろ。顔を見れば分かる。親にばれない様に、こんな古い病院を選んで、どうせ名前も偽名だろ?」
なによ・・・早く結果を言ってくれればいいのに。
「あの・・・・・・どうなんですか?」
「言っている言葉で判らんのか?第三週から四週だ。」
本当にデキちゃったんだ・・・・赤ちゃん・・・・・・どうしよう・・・。
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