小さなライバル達(スンハ) 132
背筋を伸ばして緊張しているインスンは口が渇いていたのか、出されたお茶を一気に飲み干した。
「お母さん、あの僕はまだ学生です。」
「そうよね・・・スンハより一つ年上だから医学部の4年・・だったよね?」
「そして、留学中です・・・・・・」
「スンジョ君が推薦したんでしたよね?」
本題に言い出せないでいるインスンをスンハは肘で突いた。
「スンハさんと出来るだけ早くに結婚したいのですが・・・・・・・」
結婚という言葉を聞いたハニは固まり、グミはまた新しい家族が増えると思いダイニングから小走りで来た。
「結婚?結婚するのスンハ!!」
嬉しそうに頷くスンハと、抱き合って歓喜の声を挙げているグミの声にハニは我に返った。
「ダメよ・・・・・・スンハ、何か忘れていない?」
「判ってる・・・・アッパにまだ言ってない。」
一番の難関は、結婚を言い出す事でも妊娠している事を言う事でもない。
スンハの父スンジョに、自分たちが付き合っている事を、きっかけはあったがまだ言い出せないままになっている。
「昨日、アッパに会った時に話がしたいと言ったんだけど、出張で急いでいるからって・・・・・・言われちゃって。」
「スンハのオンマは頭が良くないし、場の空気の読めない母親だけど、ただ付き合うだけなら秘密のままにしてもいいんだけど、結婚の承諾はオンマ一人では決められない。」
「ハニちゃん、あなた母親なんだから、スンジョに待って言わなくてもいいじゃない。」
「お母さん!ダメです。」
スンジョは怒鳴る事はないが、怒るとハニも近寄れないくらいに怖くなる。
「でも・・・・まだ学生なのに、どうして急に・・・・結婚なんて・・・・・・まさか・・・・・・」
「今はまだ言えないけど・・・・お願い・・・・・・。アッパが誕生日までに帰って来るって言っていたから、その頃でアッパが機嫌が悪くなさそうな時に、二人でちゃんと言うから機会を作ってくれないかなぁ・・・」
「機会・・・・・・・」
楽しい事が大好きなグミは、ポンと手を叩いた。
「ハニちゃん、スンジョの誕生日に二人で外食をしたら?」
「外食ですか?」
家族の誕生日は、グミの手料理を家族全員で食べて祝うのが、ペク家での誕生日の恒例行事だ。
ミの料理がおいしいくて外食はめったにしないし、子供が多くて手が掛るからと、スンジョとの二人っきりの外食はした事は殆どしなかった。
どこのレストランがいいのかさえ、スンジョとの話で話題に上った事はなかったが、ハニは一つだけ大切な思い出のレストランを思い出した。
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