小さなライバル達(スンハ) 133
アッパの誕生日にレストランで食事をするから、その席に来たらどうかな?
思い出のレストランだから、気を張っていないからインスン君も怖がらないと思うわよ。
オンマは何の思い出かは言わなかったけど、おばあちゃんが言うには
「嫌な事や嬉しい事があると、そこに行って食事をするんだけど、どうって事ないレストランよ。よくパラン高校の謝恩会でそのレストランを使っている子たちが多いけど、どうもそこで告白をした人はその後に幸せな結婚をするって言う、言い伝えがあるみたい。その言い伝えの元になるのが、アッパとオンマの正反対の二人が結婚した事に繋がるみたい。」
そこで私もインスンに告白して・・・・それから・・・・・
レストランの前でインスンと一緒に心準備をしているスンハは、小さくガッツポーズをした。
「いい?最初に私が入って行って、アッパ達の姿を見つけるわ。」
レストランの自動ドアが開くと、ホールスタッフが二人に声を掛けた。
「いらっしゃいませ、お二人様ですか?」
メニューを持って、二人を案内しようとしたスタッフにスンハが応えた。
「両親が来ているはずなんですが・・・・パラン大医学部のペクで予約していませんか?」
バイトだったのか、予約係を呼んで来ると言って二人をその場所に置いて奥に入って行った。
暫くすると、50代くらいの責任者がやって来た。
「当レストランの店長ですが、パラン大のペク教授ですか?」
若い二人が、スンジョに何か迷惑をかけるのではないかと、疑うような目で見ていた。
「私・・・・ペクの娘です。母に今日ここで父と食事をすると聞いていたので、同席しようかと思って来たんですけど。」
スンジョの娘と聞いて急に態度を変えて、ニコニコと話し始めた。
「お嬢様でいらっしゃいますか。ここには、プライベートでいつもいらしてらっしゃるので、できる限りお邪魔を使用にしているものですから。失礼いたしました。」
二人テーブルや四人テーブルでは家族連れが座って賑わっていた。
「お父様はいつもこの一番奥の広間を使われるんですよ。奥様との思い出の場所で、お二人で思い出話されていますよ。」
「ありがとうございます。あとは大丈夫ですから。あの部屋は、パラン高校の卒業式の後の謝恩会で使った生徒が告白をすると幸せな結婚生活を送るって言う伝説の場所ですよね?私も使ったんです。」
「そうですか・・・・・それではお隣の方は・・・・・・」
「彼です・・・」
店長は部屋の前で、スンハに頭を下げて、自分の持ち場に戻って行った。
「いい?行くわよ・・・・・・」
インスンはスンハと顔を合せて頷いた。
二人は手をしっかりと握って、ドアを開けた。
「まあ、お熱い事で!何歳になっても新婚みたいにラブラブね。」
その声に振り向くと、スンハがインスンと立っていた。
「アッパ、私この人と結婚するわ。拒否してもダメよ。だって、アッパとオンマにはもうすぐ、初めての孫が産まれるんだから。」
スンジョとの誕生日記念の食事の席に、スンジョに結婚したいという事を言いに来ることは知っていたが、孫が産まれる事まではハニは聞いていなかった。
ハニは恐々とスンジョの顔を見た。
スンジョは怒るのでもなく、ただ娘の登場の仕方に呆気にとられていた。
五人いるスンジョとハニの小さなライバル達の一人は、いつの間にか大好きな父ではなく、自分が将来を共にする青年を連れて現れた。
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