小さなライバル達(スンハ)番外編1
もう何年も一緒にいるのに、初めて二人だけで過ごすスンジョ君の誕生日。
同居を始めてから、お母さんが準備を始めて家族全員で祝ったり、子供が産まれてからは忙しくてスンジョ君のお祝いどころじゃなかった。
「スンジョ君、今日はお誕生日ね。プレゼントは何がいい?」
「何でもいいよ。」
いつまでも、新婚のような二人。
「あのレストランで、食事をするだけではダメか?」
あのレストラン・・・・・二人が初めてキスをした場所。
誕生日じゃなくても何かあると、二人っきりで食事をした。
「いいけど、折角ご馳走の用意したけど・・・・・・」
本当は、準備。なんてしていないんだけど。
「明日の夕食に作り直せばいいだろう。あの頃に比べると、随分と料理の腕も上がったよな。最近は焦がしたり生煮えで盛り付けられることもなくなった。」
相変わらずスンジョのハニを見る目は、普段仕事をしている時からは想像もつかないほど優しく目尻が下がっている。
「当たり前よ、子供を立派に育てたんですから。」
二人の愛情は、変わるよりも更に深いものになっていた。
レストランのドアを開けると、顔見知りの店長が二人を出迎えた。
「いらっしゃいませ、ペク教授。」
「予約をしてあると思いますが・・・・・・」
「はい、どうぞ・・・」
いつもはスンジョが予約をしていたが、今日はスンジョの誕生日という事でハニが予約していた。
スンジョは、異例のスピード出世で40歳で教授になった。
その時もハニと二人でここでお祝いの食事をした。
それ以来訪れていなかったが、パラン高校の伝説を作った二人のために予約を入れると直ぐに使えるようにしてくれていた。
スンジョの父は、心臓を弱めてからは仕事を減らしてはいたが、ウンジョが会社を継ぎ、結婚をして孫の顔を見てからこの世を去った。
グミは、趣味を生かし熟年女性カメラマンとしてパワフルに世界を飛び回るほど活動していた。
「早いものね、スンハも私達が結婚した年齢と同じになったわね。そのうちに<アッバ、この人と結婚します>と言って連れて来るかも。」
ハニは、娘に甘いスンジョをからかうように聞いた。
これからスンハが来る事はスンジョは知らないから、ちょっとだけ言っておいた方がいいと思った。
「オレ以上に優しくて、スンハが幸せになれる男じゃないとな。」
ハニはクスッと、笑った。
「スンジョ君は、随分と私を傷つけたりしたじゃないの。でも、下の子達にも結婚相手を見る時の注意点を教えないとね。」
「あぁ・・・」
「でも、誕生日のお祝いはこれだけでいいの?」
スンジョは、ハニの耳元で囁いた。
「数時間でいいから、オレのことを<旦那様>と言って欲しいな。子供たちの前でもいつも、学生の時のまま<スンジョ君>だからな。」
ハニはスンジョの言葉に、小さな声で
「<旦那様>・・・いいわよ。」
そう応えた。
スンジョは、ハニのその唇にそっとキスをした。
「まあ、お熱い事で!何時までも新婚みたいにラブラブね。」
その声に振り向くと、スンハが真面目そうな青年と現れた。
「アッパ、私この人と結婚するわ。拒否してもダメよ。だって、アッパとオンマにはもうすぐ、孫が産まれるんだから。」
スンジョとの誕生日記念の食事の席に、スンジョに結婚したいという事を言いに来る言は知っていたが、孫が産まれる事まではハニは聞いていなかった。
スンジョの誕生日に意外なお祝いが届き、ペク家はその後、スンハからの報告で大騒動になりました。
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