小さなライバル達(スンハ)番外編4
あんなに小さかった私とスンジョ君の初めての子供のスンハが結婚をする。
それが信じられないのに、お腹の中には子供がいるなんて。
スンジョ君は少しショックだったみたい。
考えてみれば、私たちの同級生達の子供は中学生やもっと小さい子どもの人が多い。
でも私は母親。
そんな事をのんびりと言ってはいられない。
スンハのお腹が大きくなる前に、お式を挙げないといけないから大変!
ハニは花嫁の母として、スンハの結婚式の準備を仕事の合間に着々と進めていた。
自分が結婚する時は、母親が既に亡くなっていたので姑であるグミが、親身になって全てやってくれていた。
初孫のスンハの結婚の準備も自分がやりたいといっていたが、ハニが家事全般が全く出来なく、決して立派な母親とは言えない自分だから、せめてこれだけは母として準備をして嫁がせたいと言った。
結婚式場は、スンジョとハニが挙げた式場を予約し、ウエディングドレスは自分が着たのを作り直そうとしたが、ハニに比べてスンハはスンジョに似たのかすらりとした長身で、モデルのようにスタイルがよかった。
それでも妊婦なので結婚式の頃にはお腹も膨らんでくる事を予測してユッタリした物をスンハと選んだ。
「オンマ、オンマの時はアッパも一緒に準備したの?」
ハニは、一緒に衣装選びや指輪の事で喧嘩をした事をスンハに話した。
「信じられない!プロポーズもなく、交際宣言もなく本人に了解もなく結婚宣言?」
「スンハだって変わらないじゃない。オンマとおばあちゃんには彼を紹介したけど、アッパは恩間に本当の気持ちを言ったのは、あの時が初めてだったんだよ。おまけに、孫が産まれるなんて言うもんだから似た物親子よ。突然の宣言は!」
グミママ二世のスンハは茶目っ気タップリの笑顔でごまかした。
「オンマたちの馴れ初めは聞いたんだけど、どうして急いで結婚したの?デキ婚でもないし学生だったでしょ?」
今でも、スンジョとハニはあの時のつらい思いでは口に出した事はなかった。
それでも、二十年以上前の事。
嫁ぐ娘にだけは、その話をしてもいい時期だと思ってハニは話し始めた。
「あの時はね、おじいちゃんの会社があまり良い状況じゃなくて、アッパが融資先の会社の孫娘さんとお見合いをしたの。まだその頃はアッパはオンマの事を好きだと気付いていなくて・・・・・オンマの片思いだったの。オンマもアッパの事を忘れようと、別の人とお付き合いを始めたばかりで・・・その人からプロポーズを受けた時だったわ・・・・・・」
ハニはスンハにあの雨の日の話を始めた。
三回目のキスは、雨で濡れた身体が寒く嬉しいとかいう事は感じなかった。
スンジョの広い胸に包まれて幸せな気分が、この先ずっと続く事を願っていた。
「へェー、お堅いアッパが随分と強引にキスをしたのね。それになんなのオレ様的な台詞<お前はオレが好きなんだ。オレ以外好きになれない>娘の私から見ると、オンマよりアッパの方が好きだという気持ちは強いと思うよ。」
「そう?」
ハニはスンハに言われてもそんな風に思った事は一度もなかった。今でも、自分の片思いだと思っているから。
「オンマは知らないかもしれないけど、キスするのいつもアッパからでしょ。オンマが夜勤でいない時なんてそっと書斎を覗くと、パソコンに入っているオンマの写真を見て一人でニヤニヤしてるんだもの、見ていられないわ。」
「知らなかった・・・・・・・」
「スンハ、入っていいかしら?ケーキを買って来たの、三人で食べない?」
グミがスンハの部屋にケーキと紅茶を持って入って来た。
「わぁー久しぶりね、ここのケーキ、私大好きなの。」
グミがテーブルに紅茶とケーキを並べると、スンハは嬉しそうに早速フォークでケーキを一口大に切り、口にポンと入れた。
ハニもケーキを口に入れた時、急にこみ上げてくる吐き気に襲われた。
「ウッ・・・・・・・・・・」
ハニはスンハの部屋を飛び出して、トイレに駆け込んだ。
「ハニちゃん?」
「オンマ?」
グミは、気温が高いせいでケーキが痛みかけていたのかと思い臭いを嗅ぎ、不思議そうな顔をして一口頬張った。
「何ともないわねぇ・・・・・・・」
グミの直感が働き、目を輝かせていた。
「スンハ!もしかしてもしかして、ハニちゃん・・・・・・・・・かも・・・・・」
勢いよくトイレに駆け込んだハニの様子を、リビングから見ていたスンジョが心配そうにハニに声を掛けた。
「ハニ・・・・・・どうした?」
「スンジョ君・・・・・もしかしたら・・・・・・・」
0コメント