小さなライバル達(スンハ)番外編6
「でも、おめでたい事だし賑やかでいいわぁ~。私は、男の子ふたりだけど、愛想のない子達だったから、つまらない毎日だったわ。」
グミはハニから連絡を貰い病院に迎えに来ていた。
「でもお母さん、今度は双子なんです。なんだかこの年になってまた妊娠なんて恥ずかしくって・・・・・娘はデキ婚だし、母は40代で双子を妊娠したなんて、人がなんて言うのかと思うと・・・・・おまけに上にスンハ含めて5人いるんですよ。」
「いいじゃないの、二人が仲のいい証拠だし ・・・・フフッ、お兄ちゃんが元気な証拠でもあるわよね。」
グミは相変わらずスンジョをからかうように笑いながら覗き込んだ。
スンジョはそんなママのからかいに不機嫌そうにコーヒーを飲んだ。
「でも、お腹は大きくなるのよね双子だと・・・・・スンハの結婚式にはチマチョゴリでもいいんだけど・・・お兄ちゃんたちの結婚式でも私は洋装だったし・・・・あのホテルは洋装が合うのよね。いつものお店で、ハニちゃんとスンハのドレスをお願いするわね。」
賑やかな事が大好きなグミは、久しぶりの祝辞に張り切り出した。
スンジョは、父が亡くなってから元気に出掛けてはいるが、時折淋しそうに溜め息を吐いている母を心配していた。
父の友人でハニの父ギドンも、スチャンが亡くなってから近所の目を気にしてペク家を出て行った。
親が亡くなるのは普通の事でも、元気だったグミが少しずつ気落ちしているのは、さすがのスンジョも気になっていた。
「スンジョ君、パパにスンハの事を連絡したの。孫の結婚式だから店を閉めても参加してくれるって。」
「ハニも無理するなよ。高齢出産になるし、スンハとスンリとスンミの時は大変だったろう。」
相変わらず優しいスンジョにハニはウットリした瞳で見つめた。
ハニに自分を尊敬の眼差しで見られるとグミの前だろうと人前だろうと、その潤んだ瞳が綺麗で理性が失われそうになる。
スンジョの大きな手がハニの頬を包み込むと、スンジョの顔がハニに近づいた。
その時スンジョは視線を感じた。
スンギが目を逸らす事なくとこちらを見ていた。
「アッパ・・・・・スンリお兄ちゃんが言っていたよ。アッパとオンマが仲が良いから赤ちゃんがまた産まれるって。当たったね。」
スンジョとハニは無邪気な末っ子のスンギの言葉に顔を赤らめて、スンジョはハニからさりげなく離れた。
「スンギ?スンギはお兄ちゃんになるのは嫌なの?」
スンギはハニとよく似た眠そうな目でにっこりと笑って首を振った。
「ううん、ぼく嬉しいよ。これで末っ子って言われないし・・・・妹が欲しいな。オンマお願いだよ。もし、弟だったら妹を作ってね。」
それだけ言うとスンギは走って行った。
「お兄ちゃ~ん、アッパとオンマにお願いして来たよ。」
子供部屋からスンリを筆頭に子供たちがスンジョとハニの様子を伺っていた。
スンリは無邪気な弟スンギの声に必死に黙って来いと手招きをしていた。
「ハニ、この双子で最後だな。ハニの年齢も考えれば子育ても大変になるだろうし、こんな子供たちがいたら完全に静かな余生は送れそうもないな。」
「スンジョ君・・・・・・・一人っ子の私にはこの賑やかな生活がなんだかとても幸せな感じだわ。でも本当ね、新婚当時も学生だったからのんびりとした新婚生活を送れなかったから、せめて子供が巣立ったら二人で旅行したいね。」
「そうだな。旅行先で人の誘惑に負けないで、ハニとだけでいたいな。」
スンジョはハニの身体を労わりながら、ソファーに腰かけてそっと肩を抱いた。
心の中で、子供たちのいる前でキスをしたって肩を抱いたっていい。
オレは世界で一番ハニが大切だから・・・・・・と、そう思った。
自分たちの結婚式の準備の時は、急にグミのペースにハメられた事に気分を害してハニを泣かせた。
そんな事を反省しながら、ハニとスンハが並んでパンフレットを見ている様子を眺めながら、今度は娘の結婚式まで自分も協力しようと思った。
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