小さなライバル達(スンハ)番外編9
私が入院してから、もう一ヶ月も経ってしまった。
幼いスンギが、私を探して何日かは泣いていたとスンジョ君から聞いた。
スンミとスンスクは兄スンリの言う事はいつも聞いていたので心配はしなかった。
だけどまだ5歳の末っ子のスンギは、保育園で私から離れるのも嫌がるくらい泣き虫な子供。
スンジョ君に連れられて病院に来てくれた時は、駄々をこねて泣いた後だった。
「オンマのお腹が風船みたいで破裂しちゃう。」
病院に入ってからまた大きくなった私のお腹を見て、びっくりしてまた泣いた。
なんだか自分に似ているスンギが一番かわいくて、「オンマのお腹には赤ちゃんが二人いて、もうすぐお兄ちゃんになるから大丈夫だよ」とスンジョ君に言われた時は、嬉しそうにしていた。
末っ子と言われ、お兄ちゃんやお姉ちゃんの仲間に入れなかった自分の下に一度に弟か妹が出来るのが嬉しいのだとスンジョ君から教えてもらった。
明日はいよいよスンハの結婚式。
スンハは妊娠9ヶ月で、不安があるが披露宴出席者に医師が多いのでお母さんは心配しなくていいと喜んでいた。
スンハの婚約者ファン・インスンは、直接指導は受けていないが医学部教授の娘と結婚する事でかなり緊張をしていた。
授業の合間やスンハの定期検診の時に、義理の母親になるハニの見舞いにスンハと一緒によく来ていた。
「インスン君、スンハをよろしくお願いしますね。スンジョ君・・・主人は気難しそうに見えますが、医師としてインスン君を評価していますし娘婿として信頼していますから。」
「はい・・・これからは教授の名を汚さないように・・・・・・・いや・・・結婚の順序が違ってしまった時点で迷惑を掛けたかもしれませんが、どうかよろしくお願いします。」
「オンマァ~」
小さな男の子が勢いよく入って来た。
その後ろを三人の子供とスンジョが続けて入って来た。
スンジョが病室に入って来ると、インスンは可愛そうなくらいに緊張をしていた。
インスンはスンジョとは正反対で、柔らかな笑顔と穏やかなしゃべり方だが、ビジュアルはどちらかと言うと・・・・・・・スチャンに似ていた。
真面目で穏やかな性格のインスンは、大切な娘を託すにはとても安心が出来る人だった。
スンハの兄弟、スンリ・スンミ・スンスクは父親であるスンジョとよく似ているが、末っ子のスンギはハニとよく似ている所為か、スンジョがとても可愛がっている様子が判る。
明日からはこの素敵な家族の一員として生活して行く事が、インスンはとても楽しそうだと思っていた。
いよいよ今日は結婚式当日。
不安な顔をしたスンハは、お祝いに訪れる友人知人に緊張した顔で挨拶をしていた。
「スンハ、おめでとう。」
「オンマ!来てくれたの?」
ハニは大きなお腹を抱えて、愛娘の結婚式に参列するために一時退院をして来た。
その妻を労わるように傍に立っている夫スンジョを複雑な顔をしていた。
「どうしたの?不安そうな顔をしていて・・・・・スンハはスンジョ君と一緒で堂々としてないと・・」
「何だかね・・・・お腹が張っているの。緊張している所為かなぁ・・・・・・・」
スンジョは父の顔から医師の顔に変わった。
「胎動は?」
「昨日から・・・・感じ無いの・・・・・」
「まずいな・・・・・・何とか式の間はもってくれればいいが・・・・・インスンと産科のパク先生に一言だけ言って来る。」
スンハの式の間、インスンもハニもスンジョも不安を隠せなかった。
パク医師も式に参列しているものの、スンハの顔色が段々と変わってくる様子が判った。
「スンジョ君・・・・あのね・・・・私・・・・」
ハニも不安な様子なのか、顔色が悪くなっていた。
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