スンリのイタズラなKiss 2
ソラと初めて会ったのは、入試直前の高校三年のクリスマスだった。
オレのおじであるペク・ウンジョは、何代も続いた玩具メーカーハンダイの社長。
ゲーム開発を主にした会社に変えてから50周年という事で、クリスマス向けに発売したゲームソフトやおもちゃが好評だった事で、いつものクリスマス・パーティーよりも盛大に行われた。
「おぉ、スンジョ。」
「先輩・・・ヘラ、来てくれてありがとう。」
父スンジョと大学のテニス部の先輩と理工学部時代の同級生のヘラは、永年ハンダイと付き合いのあるオリエントコーポレーションの社長夫妻。
社長はユン・ヘラで、ソラの母親。
「スンジョの子供たち?」
「あぁ・・長女スンハでパラン大医学部の五年・次女スンミはパラン中学の一年・次男スンスクはパラン小学校の六年・スンギは一年・・・・・・・・」
スンリの姿を会場内で探そうとグルッと見回すが見当たらない。
「スンジョが7人の子持ちだとわな・・・・・・」
そう、二年前にスンギの下に双子が産まれて7人兄弟になっていた。
「そうね・・・・おまけにスンハちゃんだったかしら?子供がいるのよね。」
「ええ・・・・ちょっと順序が違ってデキ婚ですが、多分母は私の子供と双子のスングとスアと一緒に・・・・・・・・・」
入口の方から同じ年頃の2歳くらいの男の子が二人と女の子が一人走って来た。
「アッパァ!」
「おじいちゃん!」
三人は三つ子と間違われそうなほど、ペク家の顔を受け継いでいた。
「スンリお兄ちゃんがオンマに怒られているの。」
目がクルクルッとしたスンジョが女の子の姿をしていた時とよく似たスアが入口の方を指差した。
人が振り返るほど大きな声で、背の高い高校生くらいの男の子が母親らしき人に抵抗をしていた。
「誰が行くかよ!」
「行かないとダメよ。お招きした方々に挨拶をして、おじ様の会社が益々・・・・・・何だっけ・・・・・」
「面倒なんだよ!・・・家で本を読んでいる方がましだ!!」
人目を引くほどの美形のその男の子は、スンジョの高校生時代と瓜二つの顔だ。
その男の子が、母親の手を振り払った瞬間、後ろにいた一人の女の子に当たった。
バシッ!!
「きゃっ!」
その女の子は男の子の当たった手に掴まって、倒れそうになるのを堪えようとしたが、バランスを崩して二人は会場の中で派手に転んだ。
「スンリ!」
母親のその声に父親であるスンジョが駆け寄って来た。
「何をやっているんだ。」
父親は片手で息子の手を引き起こして、倒れている女の子の顔をうかがった。
「大丈夫か?どこか怪我をしなかったか?」
「大丈夫です。肩に手が当たっただけなので。」
女の子は綺麗な顔をスンジョとスンリ、そしてハニに向けてニッコリとほほ笑んだ。
「ソラ・・・・大丈夫か?」
スンリと接触して倒れた女の子は、ワン・ソラ。
ワン・ギョンス先輩とユン・ヘラの愛娘。
「スンジョ、初めてだったわよね。娘のソラよ。」
「初めまして、ワン・ソラです。」
スンリは、ソラの明るい笑顔に見とれていた。
これがスンリとソラの最初の出会いだった。
その後は特に連絡はしなかったが、テハン大の試験の時に再会した。
0コメント