スンリのイタズラなKiss 4
「おい!」
目を吊り上げてスンリは振り返った。
「何?」
「何じゃないよ。お前、どこまで付いて来るんだよ。」
ソラは背伸びをして、背の高いスンリの唇に人差し指を当てた。
「そんなに大きな声で話すと・・・・ほら!みんな見ているわよ。あの高校生の二人、男の子が一人で勝手に怒って、女の子を置き去りにしているわ。女の子に恥をかかせるなんて酷い男の子ね・・・・・・って、思われているわ。」
「判ったよ。で?どうして付いて来るんだ?」
スンリは出来る限り声を押さえて、引きつった顔でソラに聞いた。
「私、あなたに一目ぼれをしたって言わなかったかしら?知りたいじゃない?好きな男の子がどんな家に住んで、その素敵な家族と会ってみたいって・・・・・・」
何とか引き留めようとしてスンリに話していても、スンリはそれを無視して先に歩いて行った。
苦手だ・・・・・女の子は苦手だ。
無愛想で、感情を見せないその顔は、父スンジョとそっくりだ。
スタスタと女の子であるソラに、歩くスピードを合わせようともしない。
出来ればソラから離れて歩きたいが、離れれば離れたで大きな声で呼び止められる気がする。
「ペク・スンリ。あなたの家はどこよ。」
「フルネームをそんな大きな声で言うなよ。」
「すみませんね!この大きな地声は父譲りなの。あの家でしょ、ほら門の外にあなたのお父様が見えるわ。」
父スンジョの姿を見つけて、ソラは走り出した。
「おじ様、こんにちわ。」
「君は、ワン・ソラだね。」
「おじ様、私を覚えてくださっていたんですね。嬉しいわぁ。」
ソラはスンジョの腕にぶら下がるようにして、自分の事を覚えてくれていた事を喜んだ。
「親父は一度見たり聞いたりするだけで覚えるんだ・・・あと・・・いつまでも親父にくっついているなよ。」
「あら?焼きもち?」
「はっ?誰がお前に焼きもちを妬くか。親父に馴れ馴れしくするとお袋が誤解するだろう。」
ソラとスンリの会話を聞きながらスンジョは、おかしくて仕方がないと言った顔をしていた。
「今から病院に行くから、二人とも家の中に入ったらどうだ?おばあちゃんもオンマもいるし、スンハがちょうど子供を連れて帰って来ているから。」
スンジョは、そう言うと車に乗り込むとすぐに走りだした。
このしつこく付いて来たソラとの関係を、きっと親父は誤解していない事は判っているけど、親父はお袋同様に恋愛偏差値はかなり低いから安心だ。
おばあちゃんとスンハは嫌がる事承知で、二人の関係をしつこく聞いてくる事は判っている。
スンリはそれを覚悟して、玄関のドアを勢いよく開けた。
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