スンリのイタズラなKiss 5
「お邪魔しまぁ~す。」
聞きなれない声にキッチンにいたハニが慌てた様子で出て来た。
その後ろを双子のスングとスアが、トコトコと付いて来た。
「おば様、こんにちわ。」
ハニは、その親しげな娘の態度に一瞬警戒した。
「えっと・・・・誰でしたっけ?」
ソラはフフッと笑って口を開こうとした時、後ろから入って来たスンリがソラの腕を引っ張った。
「家族を見に来ただけだろう、もう帰れ!」
早くソラを返さないと二階にいるかもしれない、姉のスンハと祖母グミが下りて来たらまた大騒動になる。
「お茶でも・・・・」
「いらないよ、もう帰るから。」
「いいえ、帰りません。だってあなたの兄弟って、この双子の弟と妹だけじゃないでしょ。確か、あなたの上にお姉様が見えて・・・・・それから妹のスンミちゃんと弟のスンスク君とスンギ君がいるはず。みんなの顔を見てちゃんと挨拶をしたいのよ。」
何がなんだかわけのわからないハニは、双子のスングとスアを椅子に座らせておやつを食べさせながら二人を眺めていた。
「ねえ・・・あなたって・・・・・どこかで会った事あるわよね。」
ヘラとよく似た顔に、ギョンス先輩とよく似た大きな通る声。
フフフッと笑うその顔は、今でもあまり関わりたくないある人物、ユン・ヘラと似ている事に気が付いた。
「あなたって・・・・もしかしてワン・ソラちゃん?」
ソラはスンリの手を振りほどいて、ハニの方に駆け寄って来た。
「そうです、お母様。今日テハン大の受験会場で偶然にスンリ君と会って、帰るぞって言われたので付いて来たんです。」
「おい!お前に帰ると言ってないし、お前が勝手に付いて来たんだろう。」
いつも無愛想でスンジョの高校生時代を思い出すスンリの慌て振りに、ハニはおかしくて仕方がなかった。
「お袋も、何がおかしいんだよ。」
「スンジョ君とそっくり・・・・・・クスクス・・・・・」
今でもハニはスンジョ基準で実の子供でも比べてしまう。
「おば様、お母様は旦那様の事を君付けで呼ばれるのですか?」
ソラはスンリと付き合うために、まずどうしたらいいのか直感でハニから親しくするといいと考えた。
「お袋の頭の中は、親父の事しかないんだよ。子供はその次・・・・・・ほら、もういいからお前は帰れよ。」
リビングの騒々しさが二階にいるグミとスンハ、それにスンミとスンスク・スンギも気になって顔を出した。
それに気が付いたのはスンリだけではなく、ハニに取り入ろうとしているソラも気が付いた。
ただ一人それに気が付かないのは、ソラの親しげな話し方に驚いているハニだけ。
「おば様、私たちキスをしたんです。それで、大学も同じだという事なのでスンリ君とお付き合いさせてください。」
スンリは頭を抱えた。
二階で様子をうかがっている祖母グミと姉スンハが、異様な目で見つめ合って動物的勘が働いた。
0コメント