スンリのイタズラなKiss 8
「彼女じゃないって言っているだろ!」
グミには言っていい事かどうか迷っていた。
ソラの母親ヘラとスンジョとハニの昔の事は、思い出としてもいいものではない事は、ここにいる自分しか知らない事。
ダイニングにいるウンジョの妻ミアにしても、ウンジョがまだ小学生だったから聞いてはいない。
「きっとオンマは、最愛の息子に彼女が出来たからショックなんだと思うわ。」
「そうね、スンリの最初のキスはオンマなんだから。」
「お兄ちゃんの最初のキスは、オンマなの?」
スアがスンリの膝によじ登りながら、くるくるとした可愛い目で聞いて来た。
「そうよぉ~、スンハ以外の子供たちの最初のキスはオンマなのよぉ。特にスンリの時はあまりにもアッパに似ているからってオンマがキスをした時は、アッパがすごく不機嫌になってね。」
グミが楽しそうに話をしていると、子どもたちの視線がグミを通り越してその後ろにいる人物に移って行った。
「オレが、何があって不機嫌だって?」
「あらっ!スンジョはわが子だろうと自分以外の人間が、最愛の妻の唇を奪うのは嫌なのよね。」
「バカバカしい・・・・ハニは?」
いつも自分が帰宅してハニの姿が見えないと、その姿を探しているスンジョを子供たちはよく知っている。
「お袋なら寝室に行ったよ。」
「そうか・・・・・」
スンハとグミは、ハニがいる寝室に向かって行くスンジョの後姿を見ながらクスクスと笑っていた。
「で・・・おばあちゃん、私の最初のキスの話・・・・・アッパには内緒よ。」
「判っているわ・・と言いたいけど、スンハの最初のキスはアッパなの。」
「ゲッ!」
本当に吐きそうな顔したスンハを、心配そうにインハが眺めていた。
「まっ!スンハったら。子供の前でそんな事を言ってはダメよ。」
「だって・・・・あのアッパがどんな顔をして、私にキスをしたのかと思うと驚きでしょ?」
スンハとグミの話が長くなりそうだと思ったスンリは、スアを抱いてそっとその場を離れた。
「オンマもねアッパと同じように、スンハに焼きもちを妬いていたわ。」
「似た者のバカップル夫婦ね。」
そう、ペク家の4組の夫婦は仲が良く、いつまでも新婚のままの夫婦だ。
その所為か、スンジョの7人の子供もウンジョとミアの子供のウジョンにスンハとインスンの子供インハも、もちろんギドンやミアの両親にインスンの両親も全員が仲がいい。
スンリは二階に上がるために両親の寝室の前を通った時、部屋の中から母ハニの泣き声が聞こえて足を止めた。
いつもは立ち聞きなどしないが、ソラが突然来て自分の事を【一目ぼれした】と聞いてからの母の様子が気になっていた。
「スンジョ君・・・・・スンリがヘラの娘と・・・・・・・本当は、スンジョ君がヘラと・・・・・・・」
親父がソラの母親と?なんだろ・・・・
「気にするなよ。オレにはお前しかいないのだから・・・・・・・」
いつも母は、父が他の女性(ひと)と少しでも親しげにしていると、悲しそうにしては父にからかわれては拗ねていたが、今日はちょっとその時と様子が違っていた。
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