スンリのイタズラなKiss 10
受験も終わり、卒業式までは何もする事も無く、スンリは家の中で時間を潰していた。
昨晩は父と母の過去に何が有ったのかを考えていたら、眼が冴えて眠る事が出来なかった。
学校が休みだから明け方に眠りについても、誰も起こしに来てはくれなかった。
「静かだな・・・・・みんな学校に行ったんだな。」
時計を見ると10時半を過ぎている。
スンリは着替えて、静かなリビングに降りて行った。
「あら!スンリ起きたの?」
ミアが一人で朝食後の食器を片づけていた。
「お袋は?」
「病院よ。」
そうだった。
スングとスアを保育園に入れて、仕事を再開したんだった。
ミアがスンリの前に朝食を並べ、また残っている食器を片づけを始めた。
ミアはハニとは違って物静かで、一緒の家にいてもあまり話す事はないが、両親が仕事で不在の時はよく黙って話を聞いてくれていた。
「おばさん・・・・・お袋と昔の話をしたりする?」
ミアは水道を止めて、スンリの向かい側に座った。
「詳しくは知らないけど、おじいちゃんが倒れた時にスンジョさんが社長代理として仕事をしていた事があるって、おじさんから聞いた事はあるわ。その時は、会社も大変で、スンジョさんが資金をオリエントコーポレーションにお願いしたって聞いたわ。私もおじさんも、当時まだ子供だったから詳しい事は判らないの。」
「ありがとう。」
そうだよな、親父たちよりも9つも下だから知らないのもおかしくないな。
しかし・・・・・ソラは強引過ぎだ。
最初に会った時に、明るくていい子だと思ったのは確かだけど、ちょっと面倒臭そうな感じがする。
「ごちそうさま。ちょっと本屋に行って来るね。」
外は時々春らしい陽の時もあるが、まだ冷たい空気の中をスンリは歩いた。
さすがに平日の本屋はガラガラに空いている。
目指すコーナーまで歩いて行き、一冊二冊本を手にして歩いていると、誰かに背中を叩かれた。
「アンニョン!」
振り向かなくても判る。
いきなり声を掛けたりする事の出来る人物は・・・・・
「何だよ!ワン・ソラ!」
店内放送の音楽が掛っていても、スンリの声は意外と大きくて人々の視線が注がれた。
「そんなに大きな声で言わなくてもいいでしょ。」
「お前の声もデカいよ。このストーカー女。」
ソラは持っていた本をスンリに見せて、ニヤッと笑った。
「ストーカーはないでしょ。私だって本を買うわ。」
澄ました顔でソラはレジに向かった。
「ねぇ・・・・暇でしょ?ううん、暇じゃなくても付き合ってよ。」
会計を終えたソラはスンリの方を振り向いた。
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