スンリのイタズラなKiss 11
キラキラと光るソラの瞳、まるで心を穏やかにさせてくれるような・・・
なっ・・・何だこの気持ち・・・・・
「どうかしたの?ねぇ・・・下のラウンジで何か飲もうか?」
「ぁ・・ああ・・・・」
この場から逃げようと思えば逃げられる。
だけど、逃げたくないという気持ちになる。
「お前・・・・・」
「私は“お前”という名前ではありません。」
生意気なこの言い方にさっき思った事を取り消したくなる。
今までもそうだが、オレの周りには問題ばかり起こす女が多いからな。
おばあちゃんにお袋に姉さん。
「ワン・ソラ、お前はオレのどこがいいんだ?オレは他の奴等みたいに気の利いた事もしないし、他人を構う事も苦手だ。」
「判ってるって。私だって、誰でも優しくする人なんて好きじゃないわ。うちの父なんて母一筋なんだから、そんな姿を見ていたら、全ての人に優しくするような人は興味がないの。理想は私の両親なんだから。スンリはどんなタイプの女性が好きなの?」
「ワン・ソラと正反対なタイプだ。何一つ出来ないのに、ただひたすら自分が決めた目標に向かってそれを信じてどんな困難に遭ってもまっすぐに突き進む。自分よりも人の幸せを願う女性。」
ソラはスンリの話を聞いて吹き出した。
「古臭い・・・・今どきそんな女の人がいるわけないじゃない。」
「いるさ・・・・オレの初恋の人だ。」
「初恋?意外ね、あなたからその言葉を聞くなんて。で・・・どうなの?初恋は実ったの?」
「実るわけないだろう・・・・・」
いつからこんな風に人と話さなくなったのだろうか。
受験だからではなく、ずっと家族とも向かい合って話をした事さえ覚えていない。
五歳上のスンハに五歳下にはスンミがいて、すぐスンスクが産まれて三年後にはスンギが産まれ、また五年後には双子のスングとスアが産まれて・・・・・
オレの初恋は・・・・・お袋だからな。
実るはずなどないさ。
「ワン・ソラ、お前は本当にオレと付き合いたいのか?」
ソラはスンリの言い方が少し優しくなった事に気が付いた。
「うん、付き合いたい。」
「オレは本を読む事しか趣味がないし、医学部だから勉強も大変になって相手に出来なくなるかもしれない。どこかに連れて行ってやれないし、それでもいいなら。」
「うん、それでもいいの。」
「付き合うためには・・・・ひとつだけ条件がある。」
「?」
「オレのお袋にだけは言わないでほしい。付き合うことになったのは。」
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