スンリのイタズラなKiss 12
「ただいま。」
「お帰りなさい、おふたりさん。」
スンジョとハニが二人揃って帰って来ると、いつもグミが楽しそうにかける言葉。
40歳を過ぎても、誰も見ていない所だけ二人は手をつないで帰ってくる。
スンリは仲のいい両親の顔をまじまじと眺めていた。
「どうしたのよスンリ。オンマの顔に何か付いているの?」
「目と鼻と口が人並みに付いている。」
滅多にそんな言い方をしないスンリを、グミもハニも吹き出していた。
「親父・・・・スーツのプレゼントありがとう・・・・」
「間に合ってよかったねスンリ。着てみた?」
「もういいよ、明日が入学式だから今更合わなかったら間に合わない。明日の準備があるから二階に行っている。」
「最近・・・ソラちゃんが来ないけどどうかしたの?」
「来なくてホッとしているよ。」
本当は違う。
今はお袋もにこやかで、親父に貼り付いているけど、ソラが来ればまた悲しい顔をする。
家族が多いからリビングでメールをしたり電話をすると、家族の誰かが聞きだしてくる。
ソラと約束した時間にメールで連絡を取るようにしているけど、オレは携帯を持っていないから固定電話で連絡をするしかない。
どうして携帯を持っていないのかとソラに聞かれた。
『持つ必要がないから』
そんな事を言ってソラに叱られた。
確かにパソコンでのメールのやり取りはまずい。
パソコンを起動してすぐにメールが・・・・・・・・何だぁ?アイツは何通送信しているんだよ。
昨日の最後のメールを送った後から13時間経った今までに98通?
それもなんだよ、全く同じ文面で・・・・
< おい、何だよこのメールは!同じ文面でこんなに送るな、暇人め!
> だってスンリは返事をくれないんだもの。
< 昨日の最期のメールで『これでお休み』って入れただろう!
> それと同時に送ったから、あなたの返信なんて見ていないわ。
< ったく面倒な奴だ!
いつも、延々と続くこのやり取り。
喧嘩になりそうでならないソラとのメールをこんなに楽しいとは思わなかった。
< もう、寝るぞ。明日は入学式だ、学校の掲示板前で待っているからな。
> は~い。私も待っているね。
珍しく短い時間で終わったメール。
人並みに恋愛するのも悪くないと思った。
が・・・まさか掲示板前で、こんな事になるとは思いもしなかった。
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