スンリのイタズラなKiss 13

「もう行くのか?」

「早めに行って、今日から大学生になったと言う余韻に浸りたいのよね、スンリは。」

「ハニ、それを言うのなら雰囲気に浸りたいだろ。」

「そうでした・・・・スンリ、オンマとアッパも今から出るから一緒に行かない?アッパは入学式に来賓として壇上に上がらないといけないから打ち合わせもあるの。」

「いいよ、小学生でもないし・・・・・ただでさえオレん家は注目されるのに、親と一緒に行ったら6年間が長くなるだろう。」

「そうだな・・・・・スンリの言うとおりだぞハニ。スンリは、今日から大学生なんだから。」

そうスンジョに言われなくてもハニには判っていた。

ひと月ほど前まではパラン高校の制服を着ていた我が息子が、今日からは大学生。

新調したスーツにネクタイ姿が、大人になったと成長を喜ぶ半面、ハニは寂しく感じた。

「スンリ、ソラちゃんから最近電話もかかってこないのね。」

「オレがソラに興味がなくて相手にしないから諦めたんだろ。」

お袋には言えない。

毎晩メールで、くだらない内容の文面のやり取りをしていると。

なぜか、お袋はソラからの電話も耳を澄ませているようだし、昔何か有ったのかやたらとソラの両親の事を気にしている。

「スンリ・・・今日からこれを持って行け。」

ポンと机の上に置かれた携帯を見てスンリは顔を上げた。

「オレ・・・・携帯が嫌いだから・・・・・」

「これからは必要になるから持って行け。」

「そうよ、オンマも仕事に復帰したから、忙しくて帰れない時は保育園のスングとスアを迎えに行ってもらわないといけないし、スンハも医学部を今年で卒業だから論文とかで忙しくなるからインハの迎えもお願いするかもしれないよ。」

オレは19歳で三人の幼い弟と甥の世話係か。

「判ったよ。」

「大丈夫よ。携帯のアドレスを見て、友達にどんな子がいるとか調べないから。」

あたり前だ。

でもお袋ならやりかねない。

親父は何も言わないけど、時々親父の携帯をチェックしているから。

特に最近ソラが家に来てからはその回数が増えている。

「使い方はね・・・・」

お袋に言われなくたってオレは知っている。

だいたい機種変更をした時には、使い方をオレが教えているだろう。

「ハニ、スンリの方が知っているから教える必要はない。」

親父に言われてシュンとするお袋が可愛くてオレは好きだ。

出かける直前までオレの世話を焼くお袋を、親父の優しい目が追っている。

結婚して何年も経っても、この二人は新婚のままで、こんな夫婦にソラとなれるだろうか。

ソラとなれる?オレはソラと結婚するのか?

そんな事を考えているうちに、バスは大学の前で停まった。

掲示板を目指して歩いて行くと既にソラは来ていた。

大きく手を振るがソラは、そんな事をしなくても、すぐにそこにいる事が判る。

「随分と早いな。」

「だって・・・・今日から大学生なんだもの。」

「携帯・・・・・今度から携帯で連絡が出来るから。」

早速ソラはオレの携帯の番号と連絡用のアドレスを自分の携帯に登録した。

「誰を登録しているの?」

アドレス帳を開こうとしているソラの手からスンリが携帯を取り上げた。

「親父とお袋以外入れていない。」

「そっかぁ、浮気の心配もないのね。」

ソラは頭が良いのに、こういった時にはただの女の子のように浮気をする事に敏感になっている。

オレはソラが初めて家族以外の女で話と個人的な事を話した相手だし、うるさいとは思うけど気になる存在だ。

多分、今はソラの片想いではなくオレもソラが好きになり始めているのだろう。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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