スンリのイタズラなKiss 14
「オレ、こっち。お前、あっち。それじゃ!」
クルッと背中を向けて歩き出すと、ソラが腕にしがみ付いて来た。
「何だよ。」
「一緒に行ってもいい?」
「何を言ってんだ。オレは医学部でお前は法学部。学部が違うから、入学式の会場も違うだろう。」
「いいじゃない。医学部は人数も多いし、誰にも判んないから。」
「ダメだ!親父が来賓で来るし、スンハが学生代表で来るから、医学部せいじゃない学生が来ているとバレちゃうだろう。」
ソラはがっかりした様子で、スンリから離れた。
「優秀な家庭は大変ね。家族に見つかんないように付き合わないといけないから。終ったら掲示板の前で待っているね。」
目を潤ませて名残惜しそうに離れて行くヘラを見ていると、我慢しきれずに腕をつかみたくなって来た。
「ソラの奴・・・・・オレの気持ちに気づけよ。噂になったら親父にバレるならまだしも、スンハにバレたらお袋に伝わるよりも、おばあちゃんと一緒に毎日のオレの行動に追跡が入るんだぞ。
他の奴等みたいに堂々と手をつないで歩きたくても、大学内ではオレたちには無理だ。
オレはお袋に悲しい顔をさせたくないから、付き合う付き合わないの関係なくソラと会う場所を考えないといけない。
つまらない入学式の式典も終わって、医学部の講堂を出ると誰かに声を掛けられた。
「ペク・スンリ君か?」
その声に振り向くと、多分スンジョより少し年上と思われる人物に声を掛けられた。
「そうですけど・・・・・・・」
「スンジョの大学時代にそっくりだな。」
「父をご存知ですか?」
「トップスピン・・・・・聞いた事はないか?」
「パランの伝統あるテニス部ですよね。父と母が入部していたと聞いた事があります。」
その人物は、今年入学した学生がトップスピンの存在を知っている事に喜んでいた。
「入部しないか?」
「面倒なんで」・・・・すみません・・・・」
「気が向いた時だけでいいから・・・・君の腕が欲しいんだよ。去年の高校の部の優勝者の君が入ると・・・・・その・・・大きな声では言えないが、女子部員も増える、女子部員が増えれば男子部員も増える・・・・・・」
「はぁ・・・・・・・で、あなたは父たちが入っていた時は・・・・」
「キャプテンだ!ワン・ギョンスとユン・ヘラの娘のワン・ソラも入部するんだよ。」
ソラも?
まさか、ソラが仕組んだんじゃないだろうな。
親父は今でも時々ここに来ているから、入ってもソラとは接点を持たないようにしないといけない。
「気が向いたら・・・・・・」
スンリは冷たくそう言って、人でごった返す医学部行動の前から移動していった。
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