スンリのイタズラなKiss 17
部屋のドレッサー前でいつもよりも鏡を見ている時間が長くなったソラ。
昨日は一緒に帰る楽しみを、スンリの弟や妹と甥に奪われてしまったから、今日は何が何でも一緒に帰るために身だしなみのチェックをしていた。
「ソラ!ソラ!早く食べないと遅刻をするわよ。」
「はーい。」
「今日こそスンリと楽しいキャンパスライフを過ごすわ。」
鏡に向かって最高の笑みを浮かべて、ソラは自分の部屋を出た。
「おはよう、パパ。」
「おはよう、ソラ。最近なんだか嬉しそうだな。」
「ふふ・・・・・」
「ソラに好きな人が出来たみたいよ。」
ヘラはソラの前に温かいスープを置いて、夫でソラの父ギョンスに話した。
「な!・・・なんだって?それはどこの馬の骨だ!」
ワン家の家中に広がる、ギョンスの怒鳴り声は鼓膜を破るくらいに大きな声だ。
「もう!パパったら、朝から大きな声を出さないでよ。」
「ゴメンゴメン」
普段は娘や妻にデレデレな父は、娘に春が来た事で頭に血が上ったのだ。
「馬の骨じゃないと思うよ。どちらかと言うと、サラブレッドかな。」
「ソラ、誰なの?」
「今は秘密よ。まだ彼の方が私の事が好きなのかどうか分からないんだもの。」
「パパが・・パパが学校まで行って、その馬の骨を調べてこようか。」
「やめてよ。パパは、ラケットを持った時とママや私の事になると人が変わるんだから。普段は何も言わないで大人しいのに・・・ね?ママ。」
母ヘラは、むくれている娘ソラを見ながら夫ギョンスの頬にキスをした。
「パパは私たち母娘を愛しているからよね?」
父ギョンスは、妻の優しいキスに顔を赤くしていた。
「パパとママはお似合いなのかもしれないけど、出会いは大学のテニス部なんでしょ?タイプが全く正反対なのにどうして結婚したの?」
「色々あってね・・・・・ママが落ち込んでいる時に温かいホットドックで慰めてくれたのよ。」
毎朝ワン家の朝食は、父の大好きなホットドックだった。
「食べ物に釣られるなんて、ママらしくないよね。」
「でも・・・・ママが落ち込むなんて、何があったの?成績はトップでしょ?家柄も問題ないし容姿でも問題ないし・・・・・どちらかというと、パパの方が落ち込む原因があると思うんだけど。」
「そんな事を言っていたら遅れるわよ。」
ソラは大きく口を開けてワン家特製のホットドックを頬張った。
毎日食べても飽きないように、料理の苦手なヘラはヘラなりに夫の健康を考えたホットドックを作る事が楽しかった。
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