スンリのイタズラなKiss 21
ラウンジでスンリと会った二人は、視線を合わせないようにしていた。
スンリは時々二人と目が合うと、突き刺すような冷たい視線を向けていた。
「新入生、それでは一人ずつ自己紹介をするように。」
キャプテンの司会で始まった新歓。
それぞれ自己紹介をしながら先輩たちの拍手で歓迎された。
「はい。」
ソラは勢いよく手をあげた。
「私は法学部のワン・ソラです。父ワン・ギョンスと母ユン・ヘラもこのトップスピンで大学時代にテニスをしていました。」
男子部員たちの目が、はきはきと話すソラに釘付けだった。
ソラはそれだけで、自己紹介を終わらせなかった。
終るはずがないとスンリは思っていたが、まさかここでそんな事を言うとは思わなかった。
「隣にいるのはペク・スンリで、私が付き合っている人です。でも内緒ですよ。内緒というのは、スンリのお父様は医学部の教授ペク・スンジョ先生でお母様は有名な外科の看護師オ・ハニさん、そしてお姉さんは医学部6年のペク・スンハ先輩で、皆さん方に特別な目で見られたりしたら、ご迷惑をおかけすると困るからです。」
言うだろうと思っていたが、ソラが自分を紹介した事で、男子部員たちの自分の見る目が好意的ではない事を気が付いた。
「ただいまワン・ソラに紹介してもらった、特別部員のペク・スンリです。一応ソラとは付き合っているので・・・・・・・・」
スンリの簡単な自己紹介が終わると、先輩たちの隣に新入部員は座った。
ソラは斜め向かい側に座り、すぐに先輩から飲み物を渡され飲んでいた。
アイツ・・・・・ザルか?顔色一つ変えないで飲んでいる。
「スンリ?私の事を覚えている?」
覚えていなかった。
覚えていないと言う事は、自分にとって必要のない人物だからだろう。
「誰でしたっけ?」
「スンハと同じ医学部で勉強をしているの。前に自宅にお邪魔した時に・・・・・・」
「すみません、覚えてないです。」
残念と言いながら、その先輩はオレに酌をしてから、他の新人の所に行き挨拶をしていた。
その間もあの二人の女子はスンリを気にしてチラチラと見ていた。
スンリは先輩から勧められるまま、ビールを飲んでいた。
やばい・・・・オレそう言えばお袋の体質を受け継いでいたんだっけ・・・・・
あの二人にこれ以上お袋の事を言わさないように睨みつけていたから飲み過ぎた。
「先輩・・・・・帰ります・・・・ソラをオレに返してください。」
酔っていたから自分の言った事が先輩たちに違って伝わっていた事に気が付かなかった。
ただ、ソラが嬉しそうな顔をしてオレの差し出した手を取った事だけはしっかりと分かっていた。
「スンリ!ソラを変な所に連れ込んで変な事をするなよ。」
と、あの時言われていたのをオレは知らなかったが、ソラはそれに答えていたらしい。
新歓以来ソラがオレに貼り付くようになった原因はその言葉だった。
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